薬局個別指導

調剤薬局 個別指導対策 乳幼児加算は算定した方が良いのか?

こんにちは。薬剤師&ケアマネ卵&ブロガーのゆるやく
です。

調剤薬局で仕事していると、やっぱり気になる個別指導。

新規開局であれば間違いなく1年後に【新規個別指導】がついてきます。

普段の業務から個別指導まで生かせる【個別指導対策シリーズ】

まずは手ごろな乳幼児加算からです。

今回は、5年間で個別指導2回で、内訳は

おおむね良好2件

と、まずまずの実績であると同時に乳幼児を2人育てた経験のある薬剤師が作成した、リアルな乳幼児服薬指導例を公開したいと思います。

個別指導対策で、乳幼児加算は算定した方が良いのか?

幼児

結論

算定理由を満たす業務を行い、乳幼児加算は正当に算定せよ

ではいきましょう。

乳幼児服薬指導加算について

乳幼児服薬指導加算は、乳幼児に特化した服薬指導を行いその算定要件を満たした場合に算定できます。

算定している以上、患者さんにもメリットが感じられる内容に心がけていると思います。

乳幼児加算を算定している患者さんは、個別指導で選出される可能性があります。

「そろそろ個別指導だな」とか「新規開局なので、1年後に個別指導がある」

という方に参考となるほか乳幼児が多い薬局で仕事中の方へも役立つ内容となっていますのでぜひご覧ください。

乳幼児加算 算定要件 保険薬局業務指針より

①乳幼児服薬指導加算は、乳幼児にかかわる処方箋の受付に際し、
体重、適切な剤型その他必要な事項等の確認を行ったうえで、患者の家族等に対し
適切な服用方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。

②乳幼児服薬指導加算を算定した処方箋中の薬剤の服用期間中に、
患者の家族等から電話等により当該処方薬剤にかかわる問い合わせがあった場合には、
適切な対応及び指導を行う。

③①における確認内容及び指導の要点について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載する。

このとおり、乳幼児服薬指導加算は乳幼児に対する加算となっています。

乳幼児加算 個別指導で指摘されるコメント例 ①

個別指導においては指導官から、乳幼児加算指導の不備を指摘されることがあります。

以下は、指摘される不備コメントの一例です。

  • ピコスルファート内用液は、次の日の便の様子を見ながら調節してください。
  • 混合されたシロップの使用期限は1週間です。
  • シロップは軽く振ってから使用してください。
  • シプロヘプタジンは眠気が起きるので、睡眠時間が長くなるかもしれません。
  • 市販の風邪薬とは成分が重複する可能性があるため注意。
  • 軟膏塗布の目安は、大人の人差し指の先端から第一関節までの長さに
    押し出した量(約0.5g)で、大人の手のひら2枚分です。

お解りいただけただろうか。

上記の指導は、乳幼児に特有の指導ではないため、指導官の判断によっては、乳幼児服薬指導加算の算定要件を満たしていないと判断されるケースがあります。

驚いた薬剤師
一生懸命指導して薬歴を書いていても、乳幼児加算として的外れなら、容赦なく返還指導となります

乳幼児加算 個別指導で称賛?されるコメント例

悪い例が分かったところで、では、どうやって算定要件を満たす指導をすればよいか。

乳幼児加算算定要件チェック

まずは、ここで、乳幼児加算が算定できるかどうかの
簡易チェック表を作成しましたのでご覧ください。

該当したら ✔項目
患者の年齢は6歳未満である
【体重】【適切な剤型】【そのほか必要な事項】
の確認をした
患者の保護者に対して、適切な服薬方法、誤飲防止の指導を行った
患者の家族等から電話等による当該処方箋に係る問い合わせに対応できる
確認内容及び指導の要点について、薬歴に記録した
指導の要点や注意点について、お薬手帳に記録した

お薬手帳が無い場合は、指導を記入したシールを交付することで算定できます

次回来局時、シールが手帳に貼ってあるかチェックして、もし貼っていないようなら、再発行をして貼付します。

そして、「シールを再発行して手帳に貼付」などと、薬歴と、薬歴の表書きにもしっかり記入します。

 

  • 手帳無し(点数高くなる)
  • 乳幼児加算(点数加算)

となっているレセプトは、個別指導で選出されやすくなります。

薬歴に適正な対応をしたことをしっかりと残しておかなければ個別指導で返還指示となります。

返還が多いと、再指導となりやすい!!

裏を返せば、このようなレセプトの薬歴で完璧をアピールできれば、個別指導の空気が一気に好転します。

乳幼児コメントはレセコンに辞書登録する

乳幼児服薬指導加算においては、指導の要点を手帳に記入する必要があります。

そのため、

  • レセコンにコメントを辞書登録しておきます。
  • 処方入力時に手帳コメントも入力し、
    その結果が手帳に印刷されるように設定します。
    (レセコンメーカーに対応相談。うちは割と簡単に無料できました)
  • 事務さんの処方入力前に薬剤師が薬歴を参照し、先確認で得た情報をもとに、事務さんに入力コメントの指示をします。

 

処方入力時までには乳幼児コメントを決めておいて事務さんに入力してもらうのがスムーズです。

どのように投薬するかは薬剤師次第なので、薬剤師がコメントを判断する必要があります。

処方入力時にコメントを入れておけば、Doなどの時、前回のコメントがすぐ見れるので2回続けて同じ指導コメントを入れてしまうことも防げます。

辞書登録は、
乳幼児1
乳幼児2
などと決めて、レセコン付近に貼っておくことをオススメします。

 

個別指導で称賛される乳幼児加算指導コメント例

ここからは、コメントが入力された手帳シールをもとに服薬指導につなげていくやり方を解説します。分かってないとやりがちな、

「お子様の手の届かないところへ保管」のみの無限ループ

アレンジ次第で有効活用できます。

子供の成長編

 

成長の段階で、急にイタズラするようになることも!
お子様の手の届かないところへ保管してください

普通は、「お子様の手の届かないところへ保管」のみですが、
これは、何度も使えません。

しかも、当たり前すぎて、ママもあまり気に留めてくれません。

でも、子供は成長し、行動も刻々と変化します。

今まではイタズラしなくても、これからするようになり誤飲してしまうかもしれません。

乳幼児の特性に配慮した、イタズラ、誤飲リスク排除のコメントとなっています。

 

乳幼児は急に服薬を嫌がることがあります。
そのような場合は無理に飲ませず、しばらく時間を空け
再度飲ませてあげてください。

いわゆる、【イヤイヤ期】というやつです。

この間まで素直だったかわいい我が子が、ある時から急に反抗的に!!!

成長の過程なのでだれもが経験することですので心配ないですが、服薬に関しては心配です。

無理やり飲ませて気管に入ったりするリスクがあります。

さらに、薬嫌いになるリスクがあります。

そのため、この指導文のように、少し時間を空けご機嫌を取ってから飲ませてあげることが重要です。

 

子供の味覚編

 

シロップは冷やすと飲みやすくなります、

子供はちょっとでもまずいと「嫌!」ってなりますからね。

 

そのままか、少量の水に溶いて飲ませてあげてください。

【練って団子にして上あごへ】というお約束のコメントもありますが、めっちゃ嫌がることが多い。(うちは2人ともダメでした)

まず、口をあけてくれないという相談をよくされました。

案外、粉のまま離乳食のスプーンで食べさせるか、少し水で溶いて鼻息で飛ばないようにして食べさせるという手段の方が効果的です。

 

苦味などを嫌がるようでしたら、服用前にアイスで舌を冷やすと飲みやすくなります。

よくあるコメントとしては、
「アイスやジュースに混ぜると飲みやすくなります」
があります。

これは、薬によっては苦みや酸味がひどくなる場合がありあまり汎用性がありません。

その点、この指導文は何とも混ぜずに味覚を鈍らせる方法なので、使いやすいです。

また、食後のアイスの登場に、子供のテンションもアップし喜んで薬を飲んでくれることもあります。

クラリスDSの指導文に、「ジュースに混ぜて」なんて書いていたら、余計苦くなるので個別指導では絶好のターゲットになります。

 

粉を嫌がるようなら、かき氷シロップに溶いて飲ませてあげる方法もあります。

かき氷好きな子供なら、これに混ぜるというだけでテンション上がります➚

夏が終わってもかき氷シロップは捨てないようにしましょう。

かき氷シロップのpHは不明なので、抗生剤のときは、ガムシロップに置き換えた方が安心です。

(ガムシロップでもOK これは中性なので、苦みの心配も無し)

 

体調を見守る編

言葉もうまくしゃべれず、自己主張できない乳幼児

そんな特性に配慮したコメントです。

ぐったり元気が無い様子が無いか、注意してみてあげてください

これは、抗ヒスタミン剤のコメント

眠気に注意だと、これは大人も同じだよねと個別指導で言われてしまいます。

そもそも、赤ちゃんはよく寝るでしょうという嫌味まで付いてきます(笑)

そして、薬情に「運転は控えてください」なんて入っていたら大惨事です(笑)

冗談はさておき、抗ヒスタミン剤の副作用をモニタリングする指標として、ぐったりする様子を観察するように指導しています。

外用剤編

 

(ホクナリンテープ®など)
貼った場所を触る、嫌がる場合はかぶれ初期症状の可能性があります。
注意深く見てください。

「かぶれ注意」だけでは大人と同じです。

しゃべれない、手足が自由に動かない乳幼児は機嫌が悪くなることでしか訴えることができません。

そんな乳幼児に配慮したコメントです。

 

塗った場所を触る、嫌がる場合はかぶれやスキントラブルの兆候の可能性があります。注意深く見てください。

貼り薬の類似品、軟膏バージョンです。

 

点眼薬

 

無理やり目を開けさせなくても、目を閉じたままの状態で目薬を2~3滴点眼してから、ゆっくりと目を開けさせてあげましょう。こぼれた薬液は清潔なティッシュでふき取ってください。

これは点眼薬をどうしても嫌がってしまうお子様向けのコメントです。

寝込みを襲って点眼してもいいかもしれません(笑)

 

点眼後目を触る、嫌がる場合は、目薬が刺激となっている可能性があります。注意深く見るとともに、充血などの違和感があれば医師に相談してください。

塗り薬と同様、注意深く親が見るということがポイントです。

乳幼児加算 個別指導で指摘されるコメント例 ②

いくらいい指導をしても、指導しっぱなしではダメです。

当然のことながらずっと、成長の段階で、急にイタズラするようになることも!
お子様の手の届かないところへ保管してくださいだけでは、ダメです

(イタズラしてないのに、さすがにずっとイタズラ防止ではダメです)

 

次回来局時に、前回のコメントに従い使用して問題なく服薬できたかチェックします。

問題なければ、それを薬歴に記入し、次回は別の切り口での指導方法を使用します。

問題があった場合は、問題解決の別の指導を行い、相談内容を薬歴に記録します。

 

要は、指導の結果をアセスメントして、次に生かしているかという点がポイントとなります。

 

これで乳幼児服薬指導加算も困らない!
実践シミュレーション
悪用厳禁(笑)

 

初回:粉薬処方

そのままか少量の水に溶いて飲ませてあげてください。

 

2回目:同じ粉薬処方 前回うまく飲めなかった

粉を嫌がるようなら、かき氷シロップに溶いて飲ませる方法もあります

 

3回目:同じ粉薬処方 今度は飲めた!

成長の段階で急にイタズラするようになるかもしれません。

お子様の手の届かないところへ保管

 

4回目:同じ粉薬処方 ちゃんと飲めて、イタズラもしない

乳幼児は急に服薬を嫌がることがあります。その時は無理に飲ませずしばらく時間を空けてから再度飲ませてあげてください。

 

5回目:同じ粉薬処方 ちゃんと飲めて、嫌がってもいない

成長の段階で急にイタズラするようになるかもしれません。

お子様の手の届かないところへ保管

 

6回目:同じ粉薬処方 ちゃんと飲めて、イタズラもしない

乳幼児は急に服薬を嫌がることがあります。その時は無理に飲ませずしばらく時間を空けてから再度飲ませてあげてください。

 

なんということでしょう(笑)
・・・。

 

同じ処方繰り返しで、まったく指導することが無いように見える模範的な?乳幼児でも、注意が必要なことは変わらないのでこのように指導が続きます。

これで、ムコダインDSだけが続く乳幼児でも大丈夫!

もちろん、指導が必要ないと思えばその点を薬歴に記載して【乳幼児加算非算定】とすることもアリだとおもいます。

最後の無限ループは極端な例ですが、指導方法も同じものが続いていません。

成長の過程を考慮した、その時に応じた指導と言えます。

注意喚起するためには、数回は指導が必要といった具合に個別指導のときも説明がつきます。

実際、おいしい【ザイザルシロップ®】を大量に誤飲してしまった乳幼児がニュースになったこともあります。

患者さんからも、「この子はあんまりイタズラしないから油断して目を離したら、ヒルドイドをマヨネーズみたいにチュッチュっしようとしてて慌てて止めました」ということがありました。(笑)

最後に

いかがでしたでしょうか

こちらのコメント以外にも、子育てを経験した人であれば色々なコメントが思い浮かぶかもしれません。

そして、薬剤師目線での子育ての経験から得られた情報は、これから子育てする、イクメンさん、ママさんにも役立つ情報のはずです。

算定要件をしっかりと把握しつつ、役に立てる情報を提供して子育てにおける服薬の悩みを少しでも解決できる薬剤師を目指しましょう!

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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