調剤過誤発生時の謝罪の仕方・対応手順
はじめに
慎重に注意を重ねていても起きてしまう調剤過誤。
万一過誤が発生したことに気づいた場合はどうやって対応するべきか。
調剤過誤は初期の対応方法を誤ると、大きなトラブルに発展しかねません。
患者様や処方医との信頼関係が崩れてしまった場合は、トラブル解決までに相当の月日を要することもあります。
今回はそんな調剤過誤について、2つのケースに分けて対応方法を解説します。
ケース別調剤過誤対応方法
薬局が過誤に気づいて患者様へ連絡するケース
このケースでは、①の手順が特に重要です。
順を追って説明しましょう。
①処方医に事実を連絡し、対応方法や起こりうる副作用などについて指示を仰ぐ
なぜまず医師に連絡が必要なのか。
患者さんに過誤のことを電話で伝えた後どういう反応が返ってくるかを考えれば想像がつきます。
患者さんはまず、こう思います。
「誤った薬を飲まされていたので、自分の体は大丈夫か?」
そこで、薬剤師がすぐに自らの判断だけで「大丈夫だとおもいます」と返答した場合はどうなるか。
信頼関係が気づけていなければさらに怒りを買い、不安にさせてしまうことは言うまでもありません。
そこで、第三者であり患者様の体調を把握している医師へ先に話を通して対応方法を聞いておく必要が出てきます。
もし、医師が、
「それくらいなら大丈夫だけど、はやく正しいものと交換しておいてください」
という回答であれば、それを根拠に患者様に伝えることができます。
この場合は、一安心といったところでしょうか。
もし、すぐに受診するようにということであれば、その手段も含めて提案し対応する必要があります。
繰り返します。調剤過誤を発見したら、すぐに処方医に連絡しましょう。
②会社であれば、管理薬剤師、本部等に連絡をして指示を仰ぐ。
その後の対応に必要になることがあります。
また、本部窓口に患者様が改めて電話した場合に話が伝わっていなければ、不信感につながる可能性があります。
会社にはしっかり話を通しておきましょう。
また、調剤過誤は自分だけで解決しようとせず、様々な助言をもとに対応するほうが後々問題に発展するリスクを下げることができます。
③処方医師への連絡が終了すると同時に速やかに患者様へ連絡する
あわせて、お体に異変がないか気遣うとともに、何かあればすぐに受診することなどもお伝えします。
このときには、誠心誠意お詫びをお伝えする必要があります。
もし仮に、ほかの薬剤師のミスであっても責任転嫁するようなことは絶対に避けるべきです。
④患者さんの元へ薬を取り換えに行く。
もし、患者様の希望で取り換えに来ていただくようなら、希望通り対応する。
⑤処方医に結果報告
薬を取り換えに行き、その際に患者様に伝えた内容や、患者様の様子を医師にフィードバックします。
特に何もなければ、これで終了となります。
患者さんが、薬局の間違えに気づいて連絡してきた場合
①まずは心配をかけてしまっていることを丁寧にお詫びする。
事実関係を調査して支給折り返し電話することを伝えていったん切る。
(薬局に押し掛けてきた場合は、いったんお待ちいただく)
この時点では、まだ過誤と決まったわけではないので、患者様の勘違いもないか冷静に判断するため、少し時間をいただく。そして薬局で調査をする。
②薬局で調査し、過誤が判明した場合は、すぐに処方医に連絡して指示を仰ぐ。
理由は先ほどと同じです。まずは主治医に連絡しましょう。
③同時に、管理薬剤師、本部などがあればそちらへも連絡する。
理由は先ほどと同じです。主治医の次は会社です。
④薬を交換するとともに、医師の指示に基づいて説明を行う。
医師から、「そんなに問題ないよ」というコメントがもらえればそこからはスムーズに進みます。
もしすぐ受診してくださいという指示なら、受診料や交通費を負担するなど伝えて段取ります。
⑤必要があれば、医師へ結果報告をして終了する。
今回は、過誤が発生しながらも、それほど健康被害に直結しないケースについて解説しました。
(実際は健康被害が考えにくいものが最も多い)
健康被害が発生した場合は、薬剤師会や保健所等、さらに連絡すべきところがあります。
さいごに
たとえば、軽微な調剤過誤を起こしてしまいました。
対応方法を誤り、大きなトラブルに発展してしまいました。
万一、そんな場合は、過誤を起こした本人は精神的負担から仕事ができない状態になってしまうかもしれません。
調剤過誤といっても、実際は軽微なものが大半を占めると思います。
そんな時に処方医のお墨付きを得てから連絡する、もしくはすでに処方医は知っている状態で連絡するのでは、患者さんの受ける安心感が違います。
スムーズな対応方法をとることによって、自分自身や薬局のスタッフを守ることにもつながります。
くれぐれも自分だけで隠密に対処しようとはせず、チームプレイで対処するようにしましょう。
あわせて、調剤過誤対策もありますのでご覧になってください。