万引きを捕獲するも、グレーゾーン。トラブルを神回避した話
ある夏の蒸し暑い夜
早番で帰宅しシャワーを浴びて、・・・(詳しい描写はむさくるしいだけなので 省略)
ビール発泡酒を飲もうと、「ぷしゅっー」と開けた瞬間、ケータイに着信が・・・
(ケータイをパカッ) さっき仕事を終えたばかりの店からの電話だ
「店長~ 万引きを捕まえたんで来てください」とのこと
通常は、粛々と警察に連絡して終わり→事後報告なのだが(万引き多発店舗だった)
この時はどうやら揉めている様子で、電話越しに警察も到着している様子が分かった。
取りあえず着替えて店へ。飲む前でよかったぜ。
事務所では、
万引きを捕まえた、正義感熱い男【社員A】
万引きと思われるちょいヤンキー風の【高校生A】
【高校生の父親】 いわゆるガテン系
【警察官2名】
【駆け付けた店長(私)】
事務所を開けた瞬間、汗のにおいと加齢臭に包まれ、何とも言えない雰囲気となっていた。
【高校生A】俺は盗んでなんかいねぇ!!
【社員A】じゃあ、トイレから出たとき、呼び止めたらなんで逃げた?
【高校生の父親】証拠はあんのか?
膠着状態。経緯を確認すると、どうやら
【高校生A】男性化粧品をポケットにれる
その瞬間を【男性社員A】が目撃
途中で見られていたことを察した【高校生A】が、(店内にある)トイレに入り、盗んだものをバラして、トイレに流した(容疑)
トイレから出た【高校生A】を、【男性社員A】が呼び止めたところ、逃走したため、追いかけて手をつかみ確保(結構荒っぽい・・・)
店舗経験のある人なら、【男性社員A】の行動はまずいことは分かると思います
今回はちょっと、店側が不利だなって思った。
最悪、名誉棄損とかで謝罪させられる羽目になるかもと焦った。
盗んだものが仮にトイレで使用するもので、【後で払おうと思っていた】と言われたら、こちらが誤認で捕まえてしまったと言われても反論できない
【高校生A】にそこまで知識があるかは分からないが、状況的には万引き確定です。
(店内から出ていなければ万引きが成立しないという法解釈に納得できないが・・・)
ひとまず、トイレで捨てられていた商品を確認すると、髪の毛のブリーチや消臭スプレーなどだった。
これが痔の薬とかで、「すっげーケツ痛くて我慢できなかったんだよ すぐトイレで使いたかった】とか言われなくてよかった。
【高校生A】トイレに捨てたのは俺じゃねぇ
【社員A】持っていくところも見たし、中でゴソゴソしてるのも聞こえてるんだよ!!
【高校生の親】やってねぇって言ってんじゃねぇか。証拠はあるのか?? もし違ってたらこの店ただじゃ済ませねえぞ!
いやーーーーめんどくせぇーーー(心の声)
本来はここでのトラブルは、最終的に店長の僕の責任なんだけど、なぜか冷静に見れていたから不思議
言動からこの親子は、悪知恵はない、ノーマルな悪だなと判断
商品を手に持っている所が防犯カメラ映像であれば、万引きを認めそうな感じがした。
が、ポンコツ防犯カメラにははっきり映っておらず使えなかった。
この後も、【社員A】と【高校生A】、【高校生の親】の怒鳴り合いともいえる声がうるさかったので、いったん僕と警察は別室へ移動
警察へ相談
【店長】高校生の指紋と、トイレに捨てられていた空箱の指紋を照合することはできますか?
【警察】できるけど、100%指紋が採取できるかは分からない
【警察】あと、その辺についている【高校生A】の指紋と万引きされた商品の指紋が合致しても証拠能力はなく、任意で被疑者から指紋を提出してもらって照合しなければならないです
【警察】指紋を調べるなら、結果は後日にならないと分からないです
【警察】もし、任意で指紋を提出してもらっても、照合がうまくいかなければ、その時は店は負けますよ
困ったけど、話し合いで、【やった、やってない】の膠着状態を打破し、お互い妥協に持ち込むしかない。
多分、向こうは指紋を取られればたぶん負けると考えていそうだから、指紋採取を使って揺さぶりをかけるか。
【店長】結局、やった、やらないで決着つかないですよね。指紋とか取って、大掛かりに調べないと分からないだろうし。
指紋採取と聞いて、【高校生A】は一瞬ビビった。その瞬間を見逃さなかった。
【店長】結果はどうあれ、【高校生A】君が警察に調べられたってことが他人に知られたらいやでしょ。今後困るっしょ。【高校生A】君は、万引きするつもりはなかったとしても、逃げたりして万引きを疑われる行動をしたことは事実です。
【高校生A】はい・・・
【店長】 社員Aさんも、手荒な真似をして捕まえたのは事実ですよね
【社員A】 はい・・・。
【店長】それなら、高校生A君は”万引きみたいに疑われる行為をしたり逃げたりしたことを謝罪。社員Aさんも、手荒な真似して捕まえたことを謝罪。お互いが間違いを認めることで妥協する案はどうでしょうか。
【高校生A】じゃあ、その妥結法案で・・・
(妥結法案って、どんな法案だ!という突っ込みは、ここではしなかったことは言うまでもない)
【高校生A】【社員A】 お互いに、「申し訳ございませんでした」
【高校生の親】もうこれで解決でいいな!
チャンチャン。
万引きは結果裁くことはできなかったが、十分懲らしめることはできたと思う。
こちらにも強引に捕まえてしまう不手際があったが、そこもスルーできたし、何よりもこの場ですべてが一挙に解決してくれてよかった。
が、時はすでに午前2時 かれこれ6時間も経ったのか・・・
疲れた。
社員Aさんには、もう少し冷静に対応してもらうよう丁重にお願いしておきました。
僕には、あの状況でとっ捕まえる勇気は(良くも悪くも)無いです。
商品をもって店の外に出てから、とっ捕まえましょう!!
↑ただ、この黒板が使いたかっただけ(笑)