ここでは在宅や地域連携と無縁な薬局が、その一歩を踏み出すための地域ケア会議参加方法を解説します。
- 地域ケア会議に参加できると、地域支援体制加算の算定要件を1つクリアできます。
- 地域ケア会議に参加しておけば、あとは年12回の在宅を実施すれば地域支援体制加算が算定できます。
- これから在宅に踏み出して、地域支援体制加算を考えている薬局は、算定要件クリアに加えて、地域ケア会議を通じて在宅のオファーを受ける確率が上がります。
地域ケア会議とはどういうものか、どこに参加すればいいかわからない人へもカンタンに解説しています。
ざっくりとしたやり方
- インターネットで、自分の薬局の地域はどの地域包括支援センターに属するか検索
- 地域ケア会議に参加したい旨を、地域包括支援センターに伝える
- 地域ケア会議で対応する【支援困難事例】について薬剤師の立場で発言する
以上です。
では、詳しく解説しましょう。
2020年調剤報酬改定、地域支援体制加算のおさらい
2020年調剤報酬改定で地域支援体制加算の算定要件が定められました。
そして、その経過措置が、2021年3月31日です。
その中の1つの条件に、【認定薬剤師が地域の多職種と連携する会議に出席】があります。
地域支援体制加算の実績要件:調剤基本料1を算定する薬局
以下の基準のうち1〜3を満たした上で、4または5を満たすこと
項目 要 件 条件 1 麻薬小売店業の免許を受けていること 必須 2 在宅患者薬剤管理(医療・介護)の算定回数 年12回以上(薬局あたり) ※1 3 かかりつけ薬剤師指導料(包括管理料)の届出を行っていること 4 服薬情報等提供料の算定回数 年12回以上(薬局あたり) ※2 いずれか 5 認定薬剤師が地域の他職種と連携する会議に出席 年1回以上(薬局あたり) 赤字は2020年改定で変更・追加されたもの
調剤基本料1を算定する保険薬局に適用される実績要件は令和3年(2021年)4月1日より適用。令和3年(2021年)3月31日までの間は現在の規定を適用する。
認定薬剤師が多職種と連携する会議は必須ではありません。
しかし、
- 服薬情報提供料の年12回以上は、何回できるかわからない
- 在宅のお声がかからない薬局は年12回の在宅患者薬剤管理がムリ
そう。この2つが、地域支援体制加算の大きなハードルになっています。
でも、多職種連携の会議に参加して介護とのパイプを作れば在宅調剤への足掛かりにもなるので一石二鳥なのです。
ちなみに、地域ケア会議も、多職種連携会議の一つです。
地域支援体制加算の施設基準における「地域の多職種と連携する会議」 とは、どのような会議が該当するのか。
A:次のような会議が該当する。
ア 介護保険法第115条の48で規定され、市町村又は地域包括支援センターが主催する地域ケア会議
イ 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 (平成11年厚生省令第38号)第13条第9号で規定され、介護支援専門員が主催するサービス担当者会議
ウ 地域の多職種が参加する退院時カンファレンス
在宅無縁薬局と介護をつなぐ、地域ケア会議
地域ケア会議の目的
地域ケア会議とは地域包括ケアシステムの実現に向けた手法です。高齢者個人への支援の充実、それを支える社会基盤の整備を進めることが目的になります。
目的は2つに分類されます。
1.個別ケースの支援内容の検討によるもの
2.地域の実情に応じて必要と認められるもの
地域包括ケアシステムは団塊の世代が75歳以上となる2025年を目処に、住み慣れた地域で人生の最後まで暮らすことが目的です。
(住み慣れた地域とは、大体中学校校区を指します。)
難しく書いてありますが、要は
- 高齢者が介護保険、医療保険を正しく使って、住み慣れた地域で最期まで過ごせるようにするのが地域包括ケアの目的です。
- そうはいっても、支援が困難な事例についてどう対応するべきか、医療、介護の職種で話し合って知恵を出し合う会議です。
- 地域ケア会議に参加しているのは、保健師、介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネ)、看護師がほとんどです。
例えば、
認知症の疑いがある一人暮らしの○○さん。
支援が遅れてしまったため、症状が進み、徘徊して事故に合って要介護5になってしまった。
このようなケースが後を絶たない。
今後そのようなケースを出さないようにするにはどうすればよいか?
とか、
アルコール依存症になり引きこもってしまった。
そのうちに低栄養になり、自宅で倒れているところを発見された。
病院に搬送されて一命はとりとめたが、要介護5に・・・。
今後そのようなケースを出さないようにするためにはどうすればよいか?
とかです。
これらは、早期に介入して対応すれば、住み慣れた地域での生活が継続できたかもしれません。
しかしながら対応が遅れてしまったために介護施設に入ってしまうことになります。
結果、医療費、介護費がたくさんかかる。
これらの事例に決定打はありませんが、薬局としては、いつも昼間から酒臭く身なりの整っていない患者さんなどの情報を地域包括支援センターへ知らせる等ができるかもしれません。
地域包括支援センターも、小さな情報の点と点がつながって支援に介入するケースがあるとのことです。
早く介入することによって、要介護にならずにすみ、介護・医療のお金もかからない。
何かありましたらご相談ください。」といて名刺を渡しましょう。
ケアマネさんも、顔も分からない薬剤師より、普段地域ケア会議で知っている薬剤師の方が安心して在宅調剤を依頼できると思います。
地域包括センターの関係者へ、名刺を渡しましょう!
自分の薬局の地域包括支援センターを探す
地域包括支援センターの探し方
自分の薬局の地名 + 地域包括支援センター で検索します。
これで、在宅調剤を初めて、地域支援体制加算を算定するノウハウは以上です。
2021年以降、薬局が地域支援体制加算をとるためにやること
- インターネットで、自分の薬局の地域はどの地域包括支援センターに属するか検索
- 地域ケア会議に参加したい旨を、地域包括支援センターに伝える
- 地域ケア会議で対応する【支援困難事例】について薬剤師の立場で発言する
- 名刺持参で、在宅への意思をアピールする
これはあくまでも一つの案です。
地域ケア会議でケアマネさんと交流を持っておきましょう。
そうすれば、いざ在宅調剤が必要なケースが発生した時に、ケアマネさんも紹介しやすくなります。
もし、在宅に無縁だったけど、これからは少しずつかかわっていき、地域により貢献したいと思っている薬局の参考になれば幸いです。