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カスタマーハラスメント:カスハラとは、お客(カスタマー)からの
- 著しい迷惑行為
- お客様や患者様からのセクハラも含む
- 法律に触れる可能性のある行為
を指します。
今まさに、カスハラが行われていて、
- 通常業務に支障が出る
- スタッフに心の傷が残ってしまう
そのような場合には早急な対応が必要です。
薬局やドラッグストアなどの店頭ですぐに必要な対応方法として、覚えておきましょう。
店長が部下のためを思って、クレーマーを叱り飛ばしたとしても、店長が上司に気にいられてなかったりしたら、バカ上司が客側について店長がピンチに・・・
なんてこともあるかも・・・。
冷静に淡々と対応することが重要です。
というわけで、ここではたいていのマニュアルでは後回しにされる警察への通報からスタートします。
といっても、ただ電話すればいいわけではありません。
何度か110番通報した中で、知っておくべき内容を交え、実戦型マニュアルを作成しました。
警察への通報:差し迫ったときの対応
警察は、通報しても刑法違反とならない案件については対応しようとしません。
今まさに人が殴られているなどの状況がなければすぐには動きません。
110番通報しても、のらりくらりと電話が続くだけです。
被害状況を法律に照らし合わせて警察に通報しましょう。
そのために、カスハラがどのような違反にあたるか確認しておきましょう。
刑法で定められている違法行為
脅迫(第222条)
例えば、「ふざけるな」と怒鳴りながらカウンターをけとばしたり、ドンドンとたたいたりする行為
極端な例では、「うちの若い衆をよこすぞ」と告げられた場合は該当する可能性があります。
恐怖を感じれば、脅迫罪です。
脅迫罪である事を告げた上で、スタッフに被害が及ぶ可能性があるので対応して欲しいと依頼しましょう。
恐喝(第249条)
脅迫と共に金品の要求があれば恐喝になります。
例えば、「SNSで拡散させるよ。いまのやり取りは録音しているからね。」と告げながら健康被害が発生していない調剤ミスなどに高額な賠償金を要求された場合などは該当する可能性があります。
不当に、薬が効かなかったから返金しろといって、怒鳴ったりカウンターをけったりすることなんかも該当するかもしれません。
これらも、今まさに恐喝を受けていて、理不尽な要求を飲まなければ悪い噂が拡散されてしまう、脅されて恐怖を感じている事を告げて対応を依頼しましょう。
強要(第223条)
脅迫、又は暴行を用いて人に義務にないことを行わせる、又は権利の行使を妨害する行為は強要になります。
よくマスコミで炎上していることがありますが、それ相応の謝罪をしても納得されず、土下座をさせたりすることなどです。
社長からの謝罪文や、こちらに不利な内容を一筆書けと要求することなども該当します。
「あの従業員はクビにしろ!」
「今すぐ家に来い」等
無理な要求された場合なども該当します。
- 土下座を強要されている
- 不良品でもないのに、開封品の交換をしろと脅されている
など、具体的に通報しましょう。
信用毀損及び業務妨害・偽計業務妨害(第233条)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害する行為は信用毀損及び業務妨害になります。
- 事実無根のクレームをつけられ、薬局内でほかの患者さんに言いふらす。
- 取りに来る予定のない処方せんをわざとFAXして、こちらの業務を妨害する。
こんな感じのものが該当します。
威力業務妨害(第234条)
威力を用いて人の業務を妨害する行為は威力業務妨害になります。
大声で怒鳴り、周りのお客様を怖がらせる等、業務を妨害する行為などが該当するかもしれません。
不退去罪・住居侵入罪(第130条)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しない者は該当します。とあります。
薬局や店舗も建造物に該当します。
例えば、理由を説明した上、何度もお引き取りいただくようお伝えしたにもかかわらず理不尽な主張をして居座り続ける場合は該当すると考えられます。
例えこちらの落ち度でも、すぐに対応できないため、折り返し会社から正式に回答するので、今日の所はお引き取りください。
と言っても、いつまでも居座り続けることなども該当します。
これはまさに不退去罪だといえます。
速やかに、警察に通報する案件です。
理不尽な要求を受けて、
- 傷害を受ける恐れがある
- 居座っていて埒があかない
- 患者さん待ってるし、業務に支障が出る
等の状況を、しっかりと伝えた上で対応してもらいましょう。
暴行罪(第208条)
暴行を加えた者が、人を傷害するに至らない場合をいい、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられる(刑法208条)。刑法上の「暴行」の概念には広義・狭義等4種類あるが、本罪の「暴行」は、人の身体に向けられた有形力(物理力)の行使をいう(狭義の暴行)。本罪の「暴行」は、単に人に対して有形力を行使するだけでは足りないが、かならずしも人の身体に接触することを要しない。したがって、判例によれは、人の足元に投石したり、四畳半の部屋で日本刀の抜き身を振り回す行為もこの暴行にあたりうる。また、暴行の手段である有形力には、強い光線、放射能なども含まれるが、判例によれば、「騒音による暴行」を認め、身辺で大太鼓や鉦(かね)などを連打する行為も本罪にあたる、と解している。暴行罪の故意につき、暴行の意思で暴行した場合がこれにあたることはいうまでもないが、傷害の意思で暴行に出たが、被害者を傷害するに至らなかった場合は、本来、傷害未遂になるが、現行法上傷害未遂罪の規定がないため、刑法第208条により暴行罪として処理される。
日本大百科全書(ニッポニカ)より
叩いたり蹴ったりは当然のことながら、足元に投石なども該当します。
釣銭を投げつけたり、商品を投げつけることも該当します。
継続的なねちっこいカスハラは、被害届を提出
毎回そこまで切迫するカスハラで居座ったりするわけではないが、定期的に継続的に行われる被害に関しては、しっかりと記録を残しましょう。
そして、被害届を提出しましょう。
対応方法
カスハラの事実を、記録として残す
- どのような暴言、行動などがあったのかを記録に残す必要があります。
- 可能であれば、音声データ、防犯カメラの映像などで残すことが有効です。
- 携帯電話のボイスレコーダーを活用するなどでも良いかもしれません。
このようなグッズを使用してもよいかもしれません。
記録した音声、画像データ、メモをもとに警察署に被害届を提出
被害届を出すときは、このような内容を聞かれます。
- 届出人の住居、氏名、電話番号
- 届出人と被害者は同一でない場合もあります
- 被害者の住居、職業、氏名、年齢
- 被害の年月日
- 被害の場所
- 被害の模様(被害を知った経緯、被害状況など)
- 被害金品(品名・数量・時価・特徴・所有者)
- 犯人の住居、氏名又は通称、人相、着衣、特徴等
- 遺留品その他参考となるべき事項
しっかりとまとめておきましょう。
無いとは思いますが、のらりくらりと受理しない警察官だった場合は、正当な権利であることを主張しましょう。
(被害届の受理)
犯罪捜査規範
第六十一条
1 警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。
ただ、事件性が無しとなれば受理されないこともあります。
そのため、警察への電話通報の項目で上げたように、刑法などの法的根拠をしっかり説明できるようにしておきましょう。
カスハラ 警察対応までのまとめ
冒頭にもお伝えしたように、カスハラにおいては、警察をいかに動かすかが重要だといえます。
警察に通報した経験がある方ならわかるかもしれませんが、伝え方が甘いと、のらりくらりと動こうとしません。
- 強要(第223条)
- 信用毀損及び業務妨害・偽計業務妨害(第233条)
- 威力業務妨害(第234条)
- 不退去・住居侵入等(第130条)
これらの法的根拠をしっかりおさえたうえで、今薬局が受けている被害はどれに当たるのか、法的根拠を示して通報することが重要です。
電話の脇にこちらの表を貼って起き、スムーズに通報できるようにしても良いかもしれません。
ただし、医療に携わる者としては常識かもしれませんが、次の場合は犯罪行為にあたらない可能性が高いので注意が必要です。
例外
認知症患者のBPSD
※BPSD…認知症の行動症状(暴力、暴言、徘徊、拒絶、不潔行為等)・心理症状(抑うつ、不安、幻覚、妄想、睡眠障害等)のこと
介護施設の職員さんが、暴力をふるわれても訴えないのはこのためです。
本当に頭が下がります。
いざというときに機敏に対応して、スタッフに心の傷を負わせないことは、優秀なスタッフを失わないためにも重要です。
クレーマーをきっかけに、退職してしまうスタッフも多く、転職理由の一つです。