薬局個別指導

外来服薬支援料は処方箋がなくても算定できる画期的な点数 

こんにちは。薬剤師&ケアマネ卵&ブロガーのゆるやく
です。

はじめに

今回は、薬剤師が処方箋によらずに保険点数を算定できる項目のご紹介です。

従来は、医師から処方箋が発行されて初めてもろもろ算定できるのが保険薬局です。

しかし、今回紹介するものは、そんな従来の常識をぶち抜く算定項目です。

それではどうぞっ。

なお、こちらはいち薬剤師の見解であり、正式なものではありませんので不明点などは薬剤師会に問い合わせる等していただき、確実性を担保していただきたいと思います。また、この記事が原因で発生したいかなる事象にも一切責任は負いかねるとともに、不備などを発見した場合は、お知らせいただけるとありがたいです。

外来服薬支援料185点が算定できる具体的ケース

これを読めば、

患者さんのために服薬を支援した際に算定できる加算が分かるようになります。

その加算は、外来服薬支援料(月1回)185点です。

 

外来服薬支援料185点取れる具体的ケース

こんなことはありませんでしょうか。

ほかの薬局の薬の一包化

 

外用剤だけの患者さん。

併用薬をチェックします

すると他の薬局薬の飲み間違えや飲み忘れがあるとのこと

その薬局で次回一包化してもらうように提案すると

「いつものところは大病院前で混んでいる。ここで一包化してほしい」

という要望を受けた。

外来服薬支援のチャンスです!

 

異なる病院2枚分の処方箋を一包化する

 

内科と脳神経外科の薬をそれぞれもらっていた。

どちらも、

内科だけ、とか、脳外だけなら飲めるけど、両方だと多くて間違いそうになる

と相談された。

そのため、内科と脳外をあわせて一包化とした。

 

外来服薬支援のチャンスです!

 

他の病院の一包化に、新たに自分の薬局の薬を追加し再一包化する

 

自分の薬局で、新たに糖尿の薬が開始となった。

併用薬をチェックすると、一包化された脳神経外科のてんかん薬を服用中だった。

脳外の薬だけでも多いので、飲み忘れそうなので一包化してほしい

との依頼があり、持参薬の一包化に新たに追加になった糖尿薬を入れて再一包化した。

 

外来服薬支援のチャンスです!

 

別に一包化した薬を再度あわせて一包化

 

受診日が異なるため、A病院とB病院それぞれ別に一包化して交付していた。

ある日、

どっちを飲んだかわからなくなり同じものを2回飲んでしまいそうになった

同じものを2回飲んでしまう恐れがあるため、A病院とB病院を合体させて一包化する。

外来服薬支援のチャンスです!

 

残薬整理のため、持参してもらうか訪問して整理する

 

今後在宅につなげたい患者さん

残薬がありそうな患者さんに声掛けを行い、訪問して整理する段取りをとった。

その後、自宅に1回訪問して薬を整理した。

もしくは薬局に持参してもらった薬を整理した。

でも、その後は通常に処方箋を持ってくるので、訪問薬剤管理指導での在宅患者にはならなかった。

外来服薬支援のチャンスです!

 

ここまでのケースは、すべて外来服薬支援料185点が算定できます。

 

他の薬局で交付された薬の一包化においては、もしかしたら自費で請求して一包化してあげるケースもあるかもしれません。
その場合は、高いので2度目は頼んでもらえないかも・・・

 

聞こえますか~?

私は今あなたの意識に話しかけています。

何か忘れていませんか?

こんな時に算定できる点数を・・・

外来服薬支援料185点 算定要件を理解してしっかり算定しよう

 

他の薬局の薬の一包化や、持参した薬と合わせての再一包化

間違いも発生しやすく非常に神経を使います。

そんなときのために算定できる点数があるのに算定していないとしたら、非常に残念です。

 

外来服薬支援料を算定することは、調剤報酬だけでなく重要な意味がある

 

ゆるやく的にはこのような患者さん目線での対応を行う薬局は評価されるべきだともいます。

そのためには、レセプトによって、患者さんを支援した行為をしっかりと残すことが重要です。

そのためにもぜひ、外来服薬支援料を算定し、実績として残すことをお勧めします。

 

外来服薬支援料 告示文・通知文の解説

 

厚労省からの告示文

外来服薬支援料(月1回)185点

注1患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、

当該患者が服薬中の薬剤について、当該薬剤を処方した保険医に当該薬剤の治療上の必

要性及び服薬管理に係る支援の必要性を確認した上で、患者の服薬管理を支援した場合

に月1回に限り算定する。

注1は、(必要性を医師に確認してから実施したケース)

 

注2患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、

患者又はその家族等が保険薬局に持参した服用薬の整理等の服薬管理を行い、

その結果を保険医療機関に情報提供した場合についても、所定点数を算定できる。

注2は、(実施してから医師に報告したケース)

 

注3在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、算定しない。

厚労省 告示文

 

これでは難しいため、通知文が出ています。

しかしながら、通知文も難しいため、それに解説を加えながら読めるようにしました。

もし原文で確認したくなったら、通知原文を読んでいただければ大丈夫です。

基本は、原文読み飛ばして大丈夫なようにしてあります。

通知文の解説

ザックリ要約

医師、薬剤師がオッケーして、整理・一包化などしたら算定できる

(1) 外来服薬支援料は、保険薬局の保険薬剤師が、自己による服薬管理が困難な外来の患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じ、当該患者又はその家族等が持参した服薬中の薬剤について、治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性を判断し、当該薬剤を処方した保険医にその必要性につき了解を得た上で、一包化や服薬カレンダー等の活用により薬剤を整理し、日々の服薬管理が容易になるよう支援した場合に、「注1」及び「注2」合わせて服薬支援1回につき、月1回に限り算定する。また、患者の来局時のほか、患者の求めに応じて保険薬剤師が患者を訪問して服用薬の整理等を行った場合でも算定できる。この場合、訪問に要した交通費(実費)は患家の負担とする。なお、服薬管理を容易にするような整理を行わずに単に服薬指導を行っただけでは算定できない。

 

つまり、今回は調剤していないが、患者さんが薬をもって来て、
「この薬多くて飲めないから何とかしてほしい」
と言ってきたときに、

  1. 支援の必要性を薬剤師が判断
  2. 医師の了承を得る
  3. 一包化や服薬カレンダーなどで飲めるようにする。
    服薬カレンダーの使い方を説明するだけや、指導だけでは算定できない。
  4. 月一回、外来服薬支援料1850点が算定できる。

もしくは、家に薬が残っているから出向いて整理する場合も

  1. 支援の必要性を薬剤師が判断
  2. 医師の了承を得る
  3. 交通費は患者さんもちで、患者宅に行って整理する。
    当然、出先では一包化はできないので整理、服薬カレンダーの対応で間に合えばそれでよい。
  4. 月一回、外来服薬支援料1850点が算定できる。

 

 

ザックリ要約

ほかの薬局の薬もチェックし、整理することが必要

(2) 「注1」については、外来服薬支援を行うに当たり、患者が、当該保険薬局で調剤した薬剤以外に他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤を服用していないか確認し、極力これらの薬剤も含めて一包化や服薬カレンダー等の活用により整理するよう努める。また、実際にこれらの薬剤も含めて服薬支援を行う場合には、重複投薬、相互作用等の有無を確認し、処方医に必要な照会を行い、適切な措置を講じる。なお、患者に対する服薬中の薬剤の確認や処方医への照会等を行った上で、結果として、他の保険薬局で調剤された薬剤又は保険医療機関で院内投薬された薬剤のみについて服薬支援を行うこととなった場合(当該保険薬局で調剤を受けていない患者が持参した、他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤について服薬支援を行う場合を含む。)でも算定できる。

  • 自分の薬局の薬以外にも、他の薬局でもらった薬や院内処方薬までチェックして一包化もしくは服薬カレンダーで整理する必要があります。
  • 他院服用薬との相互作用などのチェックは当然しなければならない。
  • 相互作用チェックの結果、飲み合わせに問題が発見されたら疑義照会を実施する。
  • 疑義照会の結果、仮に自薬局の薬がすべてカットになってしまっても、他の薬局の薬を一包化して整理したら、外来服薬支援料1850点を算定ができる。

 

 

ザックリ要約

整理、支援したらフィードバックが必要です

(3) 「注2」については、患者が保険薬局に持参した服用中の薬剤等の服薬管理を行い、その結果を関係する保険医療機関へ情報提供した場合に算定できる。算定に当たっては、あらかじめ、患者又はその家族等に対して、保険薬局へ服用中の薬剤等を持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋等を提供し、患者等が薬剤等を持参することで服薬管理を行う取組(いわゆるブラウンバッグ運動)を周知しておく。

ここでは、服薬支援した内容を医師にフィードバックしなければならないことが書かれている。

つまり、

  1. 患者さんが服用中の薬や残薬を持参する
  2. 持参した薬を整理し一包化する
  3. 結果を医師へ報告する
  4. 外来服薬支援賞1850点を算定できる。

 

 

ザックリ要約

ほかの点数と併用算定は不可

(4) 外来服薬支援は、処方箋によらず、調剤済みの薬剤について服薬管理の支援を目的として行うものであるため、薬剤の一包化を行った場合でも、調剤技術料は算定できない。

  • 外来服薬支援料185点を算定したら、一包化加算などの調剤技術料は併算定できない
  • 服用中の薬を持参して整理、一包化する場合は外来服薬支援料のみを算定する
    このケースでは、処方箋もなく【受付】もないため、基本料なども算定できない。

 

 

ザックリ要約

一包化の必要性が認められなければならない
面倒だから、便利だからはダメ

(5) 薬剤の一包化による服薬支援は、多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること又は心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮することを目的とし、治療上の必要性が認められる場合に行うものである点に留意する。一包化の算定要件同様、面倒だから整理した等では服薬支援料1850点は算定できない。

 

 

ザックリ要約

算定したとき薬歴へ記入する内容がある

(6) 外来服薬支援料を算定する場合は、服薬支援に係る薬剤の処方医の了解を得た旨又は情報提供した内容並びに当該薬剤の名称、服薬支援の内容及び理由を薬剤服用歴の記録に記載する。

外来服薬支援料185点を算定した場合は、薬歴に以下のものを記入

  • 医師の了解を得たこと、もしくは医師に情報提供した薬剤と内容を薬歴に記入
  • 患者へ服薬支援が必要となった理由と、服薬支援の内容を薬歴に記入

 

ザックリ要約

在宅の患者さんは算定できない

(7) 外来服薬支援料は、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。また、現に他の保険医療機関又は保険薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行っている患者についても算定できない。

 

在宅患者訪問薬剤管理指導を受けている患者さんは、在宅でお薬を届けている患者さん
このサービスを自分の薬局ですでにやっていた場合は当然算定することができない。

他の薬局で在宅をやっている場合も、そちらの薬局がやるべき業務なので、算定ができない。

レセプト請求の方法

ここまでで、算定できるケースを確認して、算定の仕方まで説明してきました。

あとは、レセプト請求です。

外来服薬支援料は、処方箋を受けていないときに算定するので、レセプトはどうなるの?と思った方へ、説明いたします

 

レセプトのやりかた

外来服薬支援料の調剤報酬明細書(レセプト)は、処方箋に基づく調剤分とは別に、外来服薬支援料単独のレセプトとして作成する必要があります。

外来服薬支援料を算定するレセプトの場合、処方箋の受付回数には計上されない。

そのため、外来服薬支援料とあわせて、調剤基本料、後発医薬品調剤体制加算等の点数を算定することはできない。

 

令和2年4月改定に伴うレセプト記載要領の変更点から次のように記載することになりました。

 

外来服薬支援料の「注1」又は「注2」のどちらに該当するかを記載し、服薬管理を実施した年月日、保険医療機関の名称、保険医指名を記載します。

 

注1は、(必要性を医師に確認してから実施したケース)

注2は、(実施してから医師に報告したケース)

 

レセプト摘要欄コメント

  • 外来服薬支援料:注1  (必要性を医師に確認して実施したケース)
  • もしくは外来服薬支援料:注2  (実施した後医師に報告したケース)

服薬管理を実施した年月日 (元号)yy“年”mm“月”dd“日”

情報提供を行った保険医療機関名(外来服薬支援料):******

※外来服薬支援料:注1の場合、服薬支援料の必要性を確認した保険医療機関の名称

※外来服薬支援料:注2の場合、情報提供をした保険医療機関名称

具体例

 

【摘要欄】
外来服薬支援料;注1  〇〇医院  △△医師 R02年6月1日

 

もしくは

 

【摘要欄】
外来服薬支援料;注2  〇〇医院  △△医師 R02年6月1日

 

といった形で記載しましょう。

最後に ゆるやく的補足

ここまでで、外来服薬支援料の算定要件、算定できるパターン、レセプトまで解説してきました。
個別指導が予定されている薬局は、しっかり算定要件をチェックして、抜かりなく取っていきましょう!

残薬の多そうな患者さんには、あらかじめブラウンバッグの話をするなどして、服用のフォローができることをアピールしておきましょう。

残薬が多そうな患者さん、これはAIではなく薬剤師の直感で判断できることが多いと思います。

ぜひ、経験を生かして患者さんのアドヒアランスを向上させるとともに、治療効果向上、医療費削減に前向きに取り組んでいきましょう。

また、処方箋によらず算定できる点数が登場したことがきっかけとなって、薬剤師主導の業務拡大につなげることができるのではないか。
そんな期待を胸に、終わらせていただきます。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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