個別指導でチェックされる対象は、レセプトの情報から選定されます。
そのため、必然的に何らかの【加算】が算定されている人が選ばれてきます。
今回は、個別指導でほぼ選ばれる【外来服薬支援料2】算定患者さんの対応についてです。
一包化が必要かどうか、薬剤師がアセスメントして、その結果を記録に残しているかどうかが問われます。
一包化は、
- 多剤服用患者さんの薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること
- 心身の特性により錠剤等をPTPから取り出せない患者さんに配慮
が目的です。
一包化したことによりアドヒアランスが改善しているかどうかが重要です。
では、具体的にどのような薬歴が必要なのか解説します。
外来服薬支援料2の算定要件を再確認
外来服薬支援料2の算定要件は、旧一包化加算の要件を参考に解説します。
保医発0305第一号
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/iryo_shido/documents/06_0305.pdf
ク 一包化加算の取扱いは、以下のとおりとすること。
① 一包化加算は、処方箋の受付1回につき1回算定できるものであり、投与日数が42 日分以下の場合には、一包化を行った投与日数が7又はその端数を増すごとに32点を加算した点数を、投与日数が43 日分以上の場合には、投与日数にかかわらず220点を所定点数に加算する。
② 一包化とは、服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤又は1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき、その種類にかかわらず服用時点ごとに一包として患者に投与することをいう。なお、一包化に当たっては、錠剤等は直接の被包から取り出した後行うものである。
③ 一包化は、多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること又は心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮することを目的とし、治療上の必要性が認められる場合に、医師の了解を得た上で行うものである。
④ 薬剤師が一包化の必要を認め、医師の了解を得た後に一包化を行った場合は、その旨及び一包化の理由を調剤録等に記載する。
⑤ 患者の服薬及び服用する薬剤の識別を容易にすること等の観点から、錠剤と散剤を別々に一包化した場合、臨時の投薬に係る内服用固形剤とそれ以外の内服用固形剤を別々に一包化した場合等も算定できるが、処方箋の受付1回につき1回に限り算定する。
個別指導に当たった人で、
②の、薬剤の種類・服用時点で算定要件を満たさない一包化が無いか念のためチェックしましょう。
もしあったら、至急レセプトの取り下げを行うことは言うまでもありません。
この中で、③が今回の本題です。
一包化は、
多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる
- 薬剤の飲み忘れ防止
- 飲み誤り防止
が目的です。
多種類処方されていて、飲み忘れがある、飲み間違いがあること
又は
心身の特性により錠剤等をPTPから取り出して服用することが困難な患者さんに、治療上の必要性が認められる場合
「心(認知症とか)身(リウマチで手が動かない)の問題があること」
認知症やリウマチなどで服薬が困難なこと
この2点が重要
医師の了解を得た上で行うものであることはいうまでもありません。
個別指導ではこの部分が重点的にチェックされます。
外来服薬支援料2の患者さんが個別指導に当たった場合は、
- 飲み忘れ
- 飲み誤り
- 心身の特性
- 医師の了解
この条件を満たしていることが分かる薬歴、表書きになっているかチェックが必要です。
外来服薬支援料2、そこに薬剤師のアセスメントは存在しますか
外来服薬支援料2(一包化)においては、医師の指示が必要だが、必要性を判断して最終決定するのは薬剤師ということです。
個別指導において外来服薬支援料2で返還になるケース①
- 患者さんに頼まれ、利便性に配慮し一包化
- 医師の指示があるという理由だけの一包化
「医師の指示があるからです。」
だけだと、おそらく指導の対象、返還になります。
個別指導において外来服薬支援料2で返還になるケース②
せっかく、一包化の必要性を判断して、一包化の指示をもらい一包化しても、薬歴が不十分だと返還になる可能性があります。
- 一包化した結果、アドヒアランスが改善したかどうかの記録がない
- 定期的に、一包化の継続が必要かアセスメントした記録がない
薬剤師的には不要でも、一包化せざるを得ないケース
患者さん:薬が多くて面倒なんだよね。ひとまとめにパックしてもらえる?
このケースで、なおかつ、医師の一包化指示があった場合はそのまま一包化していることもあるかもしれません。
そんな時は、次の項目を参考にしてください
不要な一包化かどうかは薬剤師が判断する必要があります。
- 患者さんは面倒だから一包化してもらっている
- 患者さんは一包化してもらって便利になっている
そんなケースであっても、立ち止まって考えてみましょう。
もし、残薬が発生していたようでは、十分な治療効果がでているとは言えません。
過去薬歴に、「飲み忘れた」「飲み間違えた」などの記録があれば、コンプライアンスは不十分です。
一包化をする必要があったと考えることができます。
これらの記述を薬歴に入れましょう。
薬歴に、一包化なしでは飲み間違い、飲み忘れが発生していたことや、その可能性が疑われる事案が発生したことを入れておきましょう。
レセプト・薬歴の注意事項
レセプトの注意事項
全ての一包化に共通ですが、レセプト摘要欄には、
「飲み忘れ、飲み誤り発生のため医師了解にて一包化」
などと理由を記入することがありますが、義務ではありません。
あえて記載せずにレセプトを出して、個別指導に選ばせる。
→からの、完璧な薬歴で反撃する!
といった使い方もアリです。
薬歴と表書きの注意事項
SOAP薬歴には、
S)
- 〇〇錠を飲み忘れてしまうことがある。
- 2錠飲まなきゃいけない〇〇錠を、時々1錠しか飲んでいないことがあったかもしれない。
- 〇〇錠がいつも余る。
- 朝と夜で飲み間違えてしまうことがある。
などなど、飲み忘れ、飲み誤りの実例を聞き出し記録する。
A)
- 飲み忘れ、飲み誤りが発生し治療に支障
- 一包化にてアドヒアランス改善を図る必要がある
などと、薬剤師のアセスメントを記録しましょう。
そして、今回一包化した経緯を表書きへ転機しましょう。
このようにして初回一包化をします。
2回目以降は、SOAP薬歴にて、
S)
- 一包化してもらい、のみわすれがなくなった。数値もよくなっている
など、改善事例を聞き出して記録する。
A)
- 一包化によりアドヒアランス向上 当面一包化が必要であると判断できる。
などと、薬剤師のアセスメントを記入しましょう。
表書きには、一包化にてアドヒアランスが改善された成果を転記しましょう。
その後、数回に1回、アドヒアランスが改善していることを確認しSOAPに記載するとともに表書きへも記載していきましょう。
だれもが一目で分かる状態になっていない薬歴は、減点対象?です
定期的に、一包化解除を検討したことも薬歴、表書きに残すとよい。
(解除を検討したが、やはり継続が必要だったとアセスメントした内容を記入)
無駄な一包化を漫然と行っていないことをアピールしましょう。
薬剤師としてアセスメントし、一包化不要な患者さんは一包化をしない提案をしよう
でも、負担金が安くなることを伝えれば、一包化を辞めようと考える患者さんもいます。
個別指導において外来服薬支援料2がチェックされるのは、保健医療財政を改善するために不要な加算が算定されていないかチェックすることが目的です。
薬剤師としても、不要な医療費は削減するよう取り組む必要があります。
患者さんによっては
とか、
という理由で一包化になっているケースがあります。
なんとなく一包化されていた場合は、疑義照会して医師に一包化指示取り消しを依頼しましょう。
安くなったって、患者さんから喜ばれます。
面倒くさがりには、丁寧に説明して一包化を中止するように取り組んでいくしかないでしょう。
ただ、【外来服薬支援料2】算定はNGなのは言うまでもありません。
薬局によっては、【自費】で一包化にするところもあるようです。
今回は個別指導対策での外来服薬支援料2について解説しました。
外来服薬支援料2を算定している患者さんについては、薬剤師による必要性のアセスメントと、薬歴、表書きへの記録がポイントですので、よろしければご参考にしてください。
外来服薬支援料2になってからの注意点
従来の一包化加算が、2022年改正で外来服薬支援料2に変更となりました。
2022年度の調剤報酬改定以前は一包化は対物業務とされていたため、調剤料(現:薬剤調製料)のなかで「一包化加算」となっていました。
しかし、2022年度の改定で対人業務として評価されることになりました。
新たに薬学管理料の「外来服薬支援料2」が新設され、調剤料の中の「一包化加算」は廃止となりました。
一包化は、単に1回分が飲みやすくなるようまとめているだけではなく、患者さんの服薬状況を聞きとったうえで、飲み間違いや飲み忘れのリスクを回避し、アドヒアランスを向上するために行うという位置づけです。
そのため、対人業務として評価されることとなり、外来服薬支援料2が新設されました。
だから、
個別指導では、【一包化加算】という言葉はNGワードです。
一包化を対人業務(薬学管理料)ではなく対物業務(調剤料)とみなしているのではないかと突っ込まれます。
もし一包化について聞かれたら、薬学管理料に含まれる対人業務であることを理解している旨を、はっきりと伝えましょう。