- 服薬指導が苦手で、恐怖感から何も聞けない
- 何も聞けなかったから指導もできず、薬歴を書く手が止まる
- 薬歴が終わらず残業・・・
- 患者さんといろいろな話をするが、いざ薬歴となると何を書くべきか分からない・・・
こんなことありませんか?
もしくは、そんな新人教育に頭を悩ませていませんか?
今回はこの3つの問題を解決できる裏技マニュアルです。
調剤の知識ゼロで大型調剤薬局に飛び込んだため、投薬の大変さは今でもトラウマです。
そんな中で【ゆるやく】が体を張って会得した服薬指導マニュアルです。
患者さんにより良い服薬指導をという理念に燃えている意識の高い薬剤師さんは一部不快に感じるかもしれません。
でもこれは、苦手を克服して一人前の薬剤師になる足がかりとして有益な方法です。
なにとぞお見逃しください。
免責:あくまでも管理人の判断によるものですので、運用に関しての責任等は一切負いかねます。
やり方はカンタンです。
投薬に行く前に、あらかじめ患者さんタイプに応じて服薬指導の流れを作ってしまいます。
苦手とされる患者タイプは
- 何もしゃべらない患者さん
- 薬剤師の説明が嫌いでとにかく難癖付けたがる患者さん
この2タイプに大別されます。
「色々薬の質問をされると答えられない」という悩みは、勉強すればいいだけなので、ここでは割愛します。
薬学的な内容はもっと優秀なサイトにお任せします。
何もしゃべらない患者さん編
- 処方内容から、想定される副作用などをいくつか調べておく。
- 投薬時に、クローズドクエスチョンで「Yes」となるように副作用が発生していないか聞く。
- 聞いて「Yes」だったことや、そのほかの副作用などを患者さんに注意喚起。
終了
難癖をつけてくることがある患者さん編
- 想定される副作用と、その対応方法などを入念に調べる。
- 投薬時に、クローズドクエスチョンで「Yes」となるように聞く。
- そんなこと聞いてどうなるんだ?と言い返してきたときに、副作用の対応方法を説明する。
終了
ここまでで、
- 副作用発現の確認
- 副作用が発生した場合の対応方法の指導
ができています。
指導もしているので、薬学管理料算定基準を満たす薬歴もかけます。
個別指導もパスできます。
では、具体的な方法について詳しく解説しましょう。
初心者が服薬指導で気を付けるポイントは、聞き方
あくまでも
- 処方箋に疑わしいところはない
- 副作用の兆候含め何の問題もない
そんな患者さんです。
患者さんは服薬指導を求めていないという前提です。
そのときに、「今日はどうされましたか?」と聞かれたらどうでしょう。
患者さんも色々考えて説明しなければならないので、正直面倒だと思います。
簡潔にこたえられるクローズドクエスチョンを活用しましょう。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン
- クローズドクエスチョンとは
質問に対して、「はい」か「いいえ」だけで答えが完結できる聞き方です。 - オープンクエスチョンとは
クローズドクエスチョンとは反対に、オープンクエスチョンは、「はい」や「いいえ」では答えられない質問です。
具体的な服薬指導の例
処方例
ロキソニンテープ100
1日1回1枚 腰に貼付
クローズドクエスチョンの例
何も話したがらない患者さん編
(薬)今回は、腰に貼る痛み止めがでています。
痛みは腰痛ですね?
(患者)はい。
(薬)肌に合わないとかぶれることがあります。かゆみや発疹が出る場合などは一旦中止し様子を見てください。かぶれを繰り返すようなら相談してください。
(患者)はい。
クローズドクエスチョンの例
難癖をつけてくることがある患者さん編
(薬)今回は、腰に貼る痛み止めがでています。
痛みは腰痛ですね?
(患者)書いてあるからわかるだろ!
(薬)処方箋に記載ミスがある場合もあるので、念のため確認しています。
(患者)腰だよ。
(薬)肌に合わないとかぶれることがあります。かゆみが出る場合などは一旦はがして様子を見てください。
(患者)様子を見てどうすればいいの?あんたに言えば何とかしてくれるの?
(薬)こちらに相談いただいた場合は、まず使用を継続すべきか医師に確認します。
そして、しばらく様子を見るべきか、すぐ受診すべきか判断を聞いて折り返し回答させていただきます。
(患者)どうせ医者に聞くなら、あんたに話す必要なんてないじゃん。
(薬)薬局としては、かぶれるリスクを説明しています。
万一かぶれが発生した場合、漫然と使用を続けると症状が悪化する場合があるので、その際の注意喚起として説明させていただいてます。
(患者)あ、そう。
いかがでしょうか。
2番目の患者は小学生の反抗期レベルですが、こういうのがたまにいます。
質問するからには、その理由などを明確にしておきましょう。
へ理屈に正論で懇切丁寧に説明します。
具体的な服薬指導 4つのポイント
この一連のやりとりに、以下の4つのポイントが入っています。
①薬剤師の仕事は、副作用チェックが基本と割り切る。
腰痛対策にはこのような生活習慣や~~とかと話しても仕方ありません。聞かれたら答えますが、それは基本医師がやることです。
薬歴に書いても、薬学的指導にはなりません。
②服薬指導なので、チェックする副作用と指導内容を決めておく。
この場合注意する副作用はかぶれです
③なぜ質問したのかの意図を聞かれて答えられるようにしておく。
処方箋の記載ミスの確認
副作用発生時の対応方法の確認
④服薬指導する前に、脳内で最悪ケースをシミュレーションしておく。
小学生レベルの屁理屈攻撃がきても対応できるようにしておく。
具体例を挙げてみましょう。
処方例(適当です)
アムロジピン5mg
カルベジロール10mg
スージャヌ
ロスバスタチン5mg
バイアスピリン
分1 朝食後
メトホルミン500mg
分3 毎食後
ずっとDo処方が続いていて、副作用も起きていないと仮定します。
どれも副作用で聞くところはいっぱいありますが、今回ハイリスク算定はあきらめます。
(そもそも、副作用もなくDoなので、算定して指導する必要性が低い)
- 薬剤師の仕事は、副作用チェックが基本と割り切る。
- 服薬指導なので、チェックする副作用と指導内容を決めておく。
- なぜ質問したのかの意図を聞かれて答えられるようにしておく。
- 服薬指導する前に、脳内で最悪ケースをシミュレーションしておく。
このポイントに立ち返って
メトホルミンの乳酸アシドーシスについて確認して、注意喚起をして薬歴を書くことまでストーリーを描きます。
プラス、低血圧、低血糖、消化管出血にさらっと触れます。
服薬指導例1 何も話したがらない患者さん
薬剤師)本日は、前回と同じお薬です。
服用中にめまい、ふらつき、さむけ、震えや胃痛など大丈夫でしたか?
患者)はい
薬剤師)吐き気や筋肉痛、尿の色が赤褐色になるなどもありませんでしたか?
患者)はい
薬剤師)脱水傾向になるとメトホルミンでそのような副作用が出やすくなります。
水分補給を定期的に行ってくださいね。もし吐き気や筋肉痛などが出たら、すぐ相談してください。
患者)はい。
SOAPのSにて、
S)服用中に低血圧によるふらつき症状なし
低血糖による寒気、震えなし
胃痛なし。
吐き気や筋肉のこわばりなどの症状も発生していない
O) 前回Do処方 患者様本人来局
A) アムロジピン、カルベジロール等による低血圧副作用の兆候なし
バイアスピリンによる胃腸障害兆候なし
スージャヌによる低血糖兆候なし
メトホルミンにて、吐き気などの乳酸アシドーシスの兆候なし
ロスバスタチンによる筋肉痛、横紋筋融解症の兆候なし
スージャヌ服用中のため、脱水のリスクあり、メトホルミンによる乳酸アシドーシスについて注意喚起必要
ロスバスタチンによる横紋筋融解症についても継続注意
P)メトホルミンの副作用を防ぐために、水分摂取に注意するよう指導
吐き気(乳酸アシドーシス)や筋肉痛(横紋筋融解症)注意し、体調変化時は薬局へ相談するよう指導
次回は水分摂取状況確認
今回は、たったこれだけのやり取りでここまで薬歴を膨らませることができるという例です
服薬指導例1 難癖をつけてくることがある患者さん
薬剤師)本日は、前回と同じお薬です。
服用中にめまい、ふらつき、さむけ、震えや胃痛など大丈夫でしたか?
患者)大丈夫だよ。もしダメだったらあんたが薬変えてくれるの?
薬剤師)もしふらつきがあるようで、それを医師に伝えてないなら、伝えたうえで再度診察が必要なケースもありますので確認しました。
薬剤師)吐き気や筋肉痛などもありませんでしたか?
患者)すっと飲んでて大丈夫なんだから聞く意味ねえだろ
薬剤師)副作用はいつ発生するか予測不能なため、定期的に確認しています
水分摂取が不十分だと副作用が出やすくなります。
とくに併用しているスージャヌは脱水症状を招きやすいのでこまめに水分を摂取し、吐き気や筋肉痛が万一発生したらすぐ相談してください。
患者)無言でうなづく
今回も、小学生レベルのへ理屈を華麗にスルーして、必要な情報を聞き出しつつ指導もできました。
今回も30秒投薬。
これで薬歴も書けます。
このほか、いろんな身の上話や健康相談をたくさんするのですが、肝心な指導はなにだかわからなくなって薬歴が書けない・・・という例もあると思います。
そんなときも、クローズドクエスチョンの質問「飲んでて、ふらふらしたり立ちくらみのような症状とかないですよね~。何かあったら相談してね~」と最後に差し込めばOKです。
【低血圧について確認して指導】だけの簡素なものですが、薬学的な指導があればOKです。
たとえ、減塩食のレシピなどを丁寧に書いても、【薬学的でない】と個別指導ではバッサリやられます。
その様な内容は、指導の後に補足というかんじで追記しておくのはOKです。
繰り返しますが、あくまでも薬学的指導が入っていることだけが重要です。
余りにも単調だと、もっといろいろ聞かないの?とか嫌味気味(笑)に言われますが、減点はされません。
指導してますから。
これは、アムロジンのくすりのしおりです。
ここの副作用は、出たらガチでヤバいレベルです。
「上記はアムロジンですが、皮膚の黄変や倦怠感などが万一でたらすぐ相談してくださいね~」
という一声かけるだけで肝障害の副作用について確認と指導ができます。
もっと良い服薬指導は、オープンクエスチョンでいろいろと聞き出して・・・とご意見はあるかと思います。
いかに投薬を短くして手を抜くかという意図ではありません。
今回は、服薬指導困難事例を対象にしていますのでお許しください。
服薬指導のコツは、患者さんを自分のペースに乗せてスムーズに流すこと
薬剤師の説明は、役に立たなくて長くてうざい・・・
そんな心ない中傷もあります。
でも、
的外れでグズグズになってしまう薬剤師の服薬指導。
その存在も事実です。
まずは、薬歴が書けるサクッとした服薬指導を行う。
患者さんの待ち時間のストレスを軽減させ、脱グズグズ。
そして、日々、軽く副作用の説明をしておきましょう。
そして万一副作用が発生した場合どうなるか。
あなたの日ごろの一言で副作用の初期症状に気づけたということになります。
それ以降あなたの話が刺さる患者さんになります。
患者さんとの信頼関係は、一朝一夕では築けません。
自分のペースにのせてスムーズに患者さんを流す服薬指導をしてみてはいかがですか。
このマニュアルが服薬指導の苦手克服になればうれしい限りです。