2020年5月20日付で、1億6707万7222円(国内最高)の薬が誕生
高い割には、末尾2円まで細かいな~。
安い?
高い?
ゾルゲンスマ 1億7千万円
ゾルゲンスマは、小児の脊髄性筋萎縮症の薬
これまで国内で保険が適用される薬で最も高かったのは、
白血病などの薬「キムリア」の3349万円でした。
「ゾルゲンスマ」
価格が一気にはねた感じがします。
ただ、高いには理由もあります。
この薬は、1回使用するだけで治療が完結する遺伝子療法の薬です
脊髄性筋萎縮症はどんな病気?
簡単に病気の説明をします
脊髄性筋萎縮症は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と同様、筋力が低下し体が動かなくなる病気です。
- 日本では患者さんは約800~900人
- この薬が対象となるのは2歳未満で、年間25人程度になる
- 多くは0~6か月で発症し、患者の90%以上は20か月前に死亡もしくは人工呼吸が必要となる
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、脊髄前角細胞の変性・消失によって進行性に筋力
低下と筋萎縮を呈する下位運動ニューロン病である1)。SMAは、常染色体劣性
遺伝性の希少疾患であり、本邦での患者数は858人)とされる。また、遺伝
性疾患による乳幼児の主な死亡原因であり、本邦の指定難病の1つである。
SMAは、発症年齢と最高到達運動機能によってⅠ~Ⅳ型の4タイプに分類され
る(Ⅳ型は成人発症、出生前発症型で重篤なものは0型に分類する場合もある)。
Ⅰ型(乳児型)SMAは、重症かつ高頻度にみられ、0~6ヵ月齢で発症し、患
者の90%以上が20ヵ月齢前に死亡又は人工呼吸器による永続的な呼吸管理が
必要な状態になる 【ゾルゲンスマ インタビューフォームより】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、アイスバケツチャレンジで広く知られたため、記憶されている方も多いと思います
ALSは、介護保険制度による特定疾病16個のうちの1つでもあります
ゾルゲンスマのような薬こそ保険適用を
キムリア(白血病)3349万円が登場した時なども、高額な薬が登場すると決まって健康保険の財政がセットで語られます。
健康保険財政は厳しい状態で、医療費総額は43兆円程度
(そのうち薬剤費は20%程度)
2040年には66兆円を超える試算もある。
だが、今回のような高額だが命を救える医薬品をもし保険適応しなければどうなるか。
脊髄性筋萎縮症で生まれてきて
1億7千万円払える人は助かり、払えない人は募金かクラウドファンディングに頼るしかなくなってしまう。
保険適応されたので、誰もが健康保険を利用し、最大15000円(自治体によっては乳幼児医療で無料)で治療が受けられる
ゆるやく的補足
さて、今後もゾルゲンスマのような、効果的かつ高額な薬がどんどん誕生してくると思います。
でもそのような薬こそが、健康保険の本来の趣旨に合っていると思います。
保険ってそもそも、「何かあったときのための保険」です。
収入や資産状況により命の選別が行われるような冷酷な世の中はゴメンです。
何度も言いますが健康保険は維持をしていかなければならない制度です。
そのためには、保険の趣旨から外れるものの保険給付適用外しもやむを得ないとボクは思います。
実は
この記事の趣旨は、保険適応を今後もっとシビアにすべきではないかという提言です。
皆さまはどう思われますでしょうか?
少し前にようやく【シップ剤70枚まで】の制限がかかりました。
今までの考えでは、保険適応から外すと受診控えが起きて、病状が悪化しては困るという理由が強く働いていました。
だから、市販で普通に買える鼻炎薬やカサカサ肌の保湿剤なんかも病院でもらった方が安いというおかしな現象が起きていました。
健康保険に余裕があればその考えでもなんとかなったかもしれません。
こんご保険財政が心配されているなら、普通に買える薬や、言ってみれば命にかかわらない病気の薬は保険給付率を下げるなどして、画期的な新薬の給付を続けられるように考え方を変えてもいいんじゃなか。
それが本来の【保険】なんじゃないかなとも思います
もちろん、薬剤師はこれからも
- ジェネリック医薬品
- 残っている無駄な残薬の削減
に積極的に関与し医療費抑制に力をつくさなければならないことは言うまでもないと思います。
補足の補足
今回の高額な新薬は、ニュースでもこれから取り上げられることがあると思います。
薬局勤務の人は、患者さんとの話題にも上るかもしれません。
どこの薬局にもいる、”社会情勢話すの大好きおじさん”が薬局に話題を振ってくるかもしれません。
薬剤師としても意見や考えを持っておくと、日々の無駄な医療費抑制のための仕事もより主体的に動けるかもしれません。
社会情勢大好き患者さんとも話が弾み、良好な人間関係→良好な服薬指導ができるかもしれません(笑)
この記事が、そんなことにでも役立てば幸いだと思います。