こんな調剤事務さんと仕事がしたい
今までのデキる調剤事務さんを分析してできた、
優秀な調剤事務さんはこんな人!
一般的には、この後【調剤事務の資格を取るにはコチラ!】のような宣伝があることがほとんどです。
そのため、極力魅力的になるように書かれていることがほとんどです。
ここではそのようなキラキラした表現は使わず、ストレートに書きますので、現役の調剤事務さんは気分が悪くなることもありますがご了承ください。
外から見る風景は、実際と全く違う?
調剤事務の実際の仕事内容に誤解があるまま働き始めると、こんなはずじゃということになります。
これから始めようかな?と思う人は是非見てもらいたいと思い調剤事務の実際の仕事内容について記事にしました。
あくまでも、調剤薬局で活躍できるのはどのようなタイプの人かということについて、薬剤師の視点で書かれています。
調剤事務、仕事のイメージと現実の差
まず、調剤【事務】という名前に、実際の仕事との剥離があります。
一般的に事務職といえば、オフィスでのデスクワーク、書類の作成、整理などが浮かぶと思います。
調剤事務の最も大切なものは、レセプトという調剤報酬の請求書を社保、国保などにあげることになるので事務という言葉は、定義上は間違っていません。
それでは何が、思っていた仕事と違うかも?となるのでしょうか。
仕事内容から検証します
調剤事務さんの仕事の流れ
朝
- 出勤してきて、調剤に必要なPCなどのシステム立ち上げ、そうじ、郵便物などのチェック
- 医療機関との書類のやりとり(門前薬局の場合)
ここまでは、【事務の雑用】です。
掃除を事務かと言われれば、違うかもしれませんがまあまあ事務職です。
開局
患者様がみえたら、処方箋を預かるとともに、保険証、お薬手帳を提出してもらう。
ここから、【事務?】雲行きが怪しくなってきます。
初めての方の場合だと、質問票の記入依頼 これも、
(病院と薬局は、別々の施設です。繋がってはいません)
こちらも、できることなら省きたいが必要だからやっているのに、それを一々聞かれる。
そんなときも、丁寧に必要性を説明して納得してもらう必要があります。
薬剤師は別に、副作用歴、ジェネリック医薬品について、飲み合わせのことなどをこの後確認します。
処方箋入力
いざ、レセコンといわれる調剤用のパソコンに処方箋を入力します。
これは、ミスの許されない仕事です。
出来れば隔離されて一人全集中でやりたい作業です。
でも、
混んでいる薬局だと、
患者さん対応の最前線カウンターにいるので、
などの問い合わせにも丁寧に答える必要がある。
問屋さんの納品
そんな入力で忙しい中に医薬品の納品がきます。
検品作業をおこない、冷蔵庫保管品は、すぐに冷蔵庫に入れます。
(冷蔵庫に入れ忘れたら、その医薬品は廃棄処分で、何万円という金額が飛びます)
この落ち着かない雰囲気の中、「処方箋を間違えずに入力 後述」の業務は続きます。
会計
薬剤師が薬を渡した後はレジで会計業務をやることもあります。
患者さんから薬の質問
ここで、「そういえばこの薬って・・・」とかって患者さんから最後の最後に聞かれたりします。
もちろん事務さんが答えるわけにはいかないので薬剤師に引き継ぐことになります。
調剤室も殺気立っていることがあります。
特に一包化調剤が重なったりして、薬剤師が忙しくてバタバタしているときは、下手に中断するとミスの原因となるので、一番聞いても大丈夫そうな人を探します。
場合によっては空気を読んで、患者さん対応を引き継いでもらったりします。
患者さんの世間話の相手
薬剤師は投薬などの患者対応が終わったらすぐに調剤に戻りたいのですが、患者さんの世間話が終わらず困ることもあります。
そんなときは、うまく割って入ってもらって世間話を引き継ぎながらクロージングする技術も必要です。
レジで会計のときに、
「前はいくらだったのに何で今回値段違うの?」
「向こうの薬局はいくらだったのに、なんか高いよ」
と聞かれたりすることもあります。
そんな時には、調剤点数を見ながら理由を丁寧に説明する必要があります。
病院昼休み時間
病院がいったん昼休みに入ったりして患者さんが途切れたタイミングで、一息と行きたいところですが、ダメです。
空いた時間に、処方箋の仕分けや調剤録の貼り付けなど、雑用が入ります。
これをやっておかないと、閉局しても残業になってしまいます。
(薬剤師は薬歴で残業して、すぐに閉まらないので、残業ができないから帰るということは無いです(笑))
閉局
- 最後の処方箋の整理
- 売上金の清算
- ごみの片づけ、掃除
ようやく事務職らしくなって終わります。
目安としては、結構混んでいる内科系の医院横の薬局といった感じです。
調剤事務 一日の流れを見てどうおもう?
いかがでしたでしょうか
思い出すまま一筆書きで書いたような文章なので、これ以外にも様々な面倒な業務があると思います。
事務所での事務とはかけ離れた内容であることに気づかれると思います。
どっちかっていうと、調剤事務員は接客業ですよね。
それも、流行っている飲食店のようなイメージ。
大量の一包化の人と、軟膏一本じゃ、かかる時間もちがう。
順番に対応しているので、軟膏一本の患者さんの前に一包化が重なっていたら必然的に時間がかかります。
牛丼家の、【牛すきなべ御膳】と、【並盛単品】以上に手間が違うって。
そんなクレームにも、丁寧に対応しなければなりません。
(薬剤師も同様、そんな質問に答えたりして消耗してますが・・・)
調剤事務に向いている人
頭の回転が速く、コミュ力高い人
いっそのこと調剤事務の募集要項に
「牛丼家のワンオペ経験者 優遇」とか入れたらいい
ていうか入れたい。
それくらい、接客出来て頭の回転が速い人がいてくれると非常に助かります(笑)
こんなカオスな状況の中、患者様からも好かれて話し相手にもなってしまう事務さんもいます。
ちょっとしたトラブルも、うまーく和ませてしまうコミュ力高い人が。
患者の立場では、カウンターに座ってパソコンを打っているイメージが強いかもしれません。
でも実際は事務以外の仕事のほうが多いことがお分かりいただけましたでしょうか。
それでも、調剤事務をやってみたいという人は、ぜひぜひ次も読んでください
つぎは、仕事内容における難しさについて解説しようと思います
PCのスキル・責任感
調剤事務員の仕事内容の難しさ。
処方箋をPCに入力、PC操作は最低限のスキル
- 調剤ミス防止システムも、事務の処方箋入力に基づいて動きます。
- 事務員の入力操作が間違っていれば、間違った状態を「問題なし」と判定してしまう。
- ミスの最終責任は薬剤師にあるので、最終チェックは薬剤師がします。
- そこでミスが発覚すると最初からやり直しになり、待ち時間がどんどん増えて、患者さんからも苦情がでてしまう。
- それで焦ってまた間違うという負のスパイラルに陥らないためにも、絶対にミスは許されない
- 万一事務のミスを薬剤師が発見できなければ、取り返しのつかないことになるケースも出てきます。
とまあ、きついことを言いましたが、これを受け入れたうえで「やるぜ」って人じゃないとあとあと困るのであえてはっきり書かせていただきました。
入力ミスに薬剤師が厳しくなる理由
もし、入力ミスを薬剤師から厳しく注意されている事務さんがいたら、見て欲しい。
調剤の全責任は、薬剤師にあります。
もし調剤事務員のミスにより発生した過誤で患者さんに健康被害が起きたとします。
事務さんには責任は一切ありません。
薬剤師は、いわば命綱を事務さんに持たせている面もあります。
命がけの状態であれば、もしミスを続けられた場合に、優しくいられるでしょうか。
自分、患者さんの命がかかっています。
ここで、やさしいのは、現実が見えてないか無責任な薬剤師だと思います。
まず、パソコンで入力するので、PC マウスの素早い操作は必須
これが苦手な人は絶対やめたほうが良い。
病院ごとに処方箋の様式、書き方、大きさに違いがある。
(QRコードがついて読ませて入力できるものもあるが、メーカーの互換性の問題で100%活用できる保証はない 場合によってはバグって入力される)
臨機応変に様式の違いに対応しなければならない。
- 処方箋使用期限切れなのに、とぼけて出してくる患者さん
- 2枚つづりなのに、1枚出し忘れる患者さん
油断も隙もありません。
処方箋って、書いてある通りに薬を出せばいいって思われているが実際は・・・
実際は、処方箋通りに入力してから、薬局にあるどの薬を使用するか選んで入力する必要があります。
処方箋のほとんどが、「一般名処方」といって、成分名と量しか書いていないものが現在の主流です。
その、一般名通りに入力してから、過去の服用履歴や患者希望に基づいて薬を選択する形となります。
どんなふうに薬を選ぶのか
ジェネリックと先発のほかに、ジェネリックでもメーカーが指定されていたりすることがあります。
患者さんによっては、水なしで飲めるOD錠剤指定とか、細かい。
前回と同じ処方なら、そのままコピーできるからよいが、半年に1回くらい処方される点眼薬とか、夏場に出る水虫薬とか、過去に処方されていないかざっと見て選択します。
過去に使っているものが記録に残っていればそれを選ぶ必要があるので、過去の記録を参照する。
病院では、この間と同じと言われていたのに、帰宅して見比べてみたら、見た目が異なっていたら、間違いじゃないのかという誤解を生みます。
もし在庫都合で銘柄が変わる場合も、ひと声かけてから変更しないと患者さんの不安につながります。
初めてであれば、どれを選ぶかは薬剤師と患者さんで話して決めることになるので、それを確認してから入力する必要があります。
処方箋に書かれているとおり機械的にやるだけでは務まらない
お分かりいただけただろうか。
そのまま紙に書いてあることを打てばいいというわけにはいかないのです。
ただタイピングが早いだけでは務まりません。
事務さんの採用面接時は、キーボードでパソコン入力ができるかどうかに焦点が当たることが多いと思います。
しかし、入力事務には、医薬品の名前を覚えたりすることも必要になります。
どんな薬か、何の薬かとかは必要ではないが、商品名と成分名が頭に入っていなければ務まりません。
カルボシステインは、ムコダイン® とかね。
たとえば、
処方)アレグラ60mg
と書いてあっても、
- アレグラ®60mg
- フェキソフェナジン錠60mg
- フェキソフェナジンOD錠60mg
と、3パターン出てくるし、もっと複雑なものもある。
自宅学習も必要
始めのうちは、
- 薬局にある薬の名前を覚える、
- タイピングの練習をする
などを自宅で人知れず勉強することも必要なようです。
すぐに戦力になった調剤事務さんの後日談で、このようなものがありました。
ミスが多かったので、薬の名前を印刷して持って帰り覚えてきました。
ずっとスマホだけだったので、パソコン買って、キーボードの練習をしました。
時には、薬局の外へ出かける仕事も発生
病院の横にある薬局においては、その病院の薬はすべて受け付けられる在庫がなくてはならないことは、暗黙の了解です。
これを、業界では門前薬局といいます(病院の門の前にあるから)
(逆に遠くの薬局とかだと、薬の在庫がなくすぐに受付できないことも普通)
そのため、万一薬が足りない場合は、隣の病院との関係の重要性もあり、
- ほかの薬局に買いに走る
- 薬が届いたら、必要によっては患者さんの家へ届ける
という仕事が発生する場合があります
患者さんの家に関しては、グーグルマップを駆使しながら行くことになります。
土地勘のある地域で働くことをお勧めします。
それでも調剤事務 やりたいですか?
いかがでしたでしょうか
調剤事務という言葉から想像される仕事と、実際の違い
調剤事務の要求されるレベルが、パソコン以外にも総じて高いこと
ざっと思い浮かぶまま書いたのですが、あなたの思い描く調剤事務と、明らかに相違がある場合は、思いとどまったほうが良いと思います。
逆に、この状況で生き生き働いている方も多く、その方に共通する点は
仕事と同時に自分の成長を期待しているということに尽きると思います
ここでちょっと補足
調剤事務の資格について
調剤事務の資格は、働き始めるために必須ではありません。
調剤事務の実務に携わらずに調剤事務のテキストを見ても、何のことか実態がつかめないと思います。
一応資格こそ取れても、その時点でははっきり言ってあまり役に立たないとおもいます。
しかしながら、ある程度薬局事務をこなして、独り立ちした後に薬局事務の資格勉強をしなおすことは逆にすごく有効だと思います。
いままでモヤモヤしながらやっていた、点と点がスパッとつながると思います。
調剤事務を始める前に、資格取得するのは早すぎる
ある程度調剤事務をやっており、独自にスキルアップするために資格取得する場合は、資格試験勉強をするメリットあり!
始めて携帯電話を持った時、あの分厚い説明書は読まなかったと思います。
しかし、しばらくすると説明書を読んでいろいろ機能を使いこなすようになっていったのと同じです。(ガラケー知らない人には分かりにくい説明か・・・)
ちょっと実務を知っていると、テキストの内容も面白いように入ってくるはずです。
たとえばこれなんか、オススメです!
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知っておくと有利な裏話
経験の浅い薬剤師は、薬の知識こそあっても、保険請求や点数計算などの知識はほとんどわかりません。
その点をサクッとフォローできれば、薬剤師からも一目置かれえる、信頼できる事務さんの地位を確立できます
最後に
ここで書いたのは、ある種、トップクラスの調剤事務員の話です。
目指すところを示したまでです。
調剤事務パート採用面接とかでは、PCができて、普通のスーパーや飲食店で問題なく仕事できた経験があれば、よほど面接で印象が悪くなければ採用される率が高いです。
調剤事務は採用されてから、覚えることがたくさんあります。
調剤事務を、「仕事の作業」と感じず、「接客業+医療職」と意識して、来てくれる患者さんのために、自分のために、自分磨きをして成長したい!
そんな人材が最適だと僕は思います。