ついこの間は
とか言っておきながら今度は真逆の切り口です。
ホント一貫性のない奴だよなという声が聞こえてきますが、気にしません。
ではいきましょう!
調剤薬局薬剤師がドラッグストアを経験すると得られるメリット
注意点
このページは、調剤薬局薬剤師さんで、ドラッグストアにおけるOTCなどの経験がない人に向けて書かれています。
かつてドラッグストア店長として仕事していた時の感情なども入っていますので、一部、調剤薬局薬剤師をディスるように感じられる点があるかもしれません。
調剤の神髄を極めてこそ一人前
と思っている人には、一部不快に感じる可能性がありますのでご了承ください。
(もとより、必要のない記事となります。)
長いですが、調剤のストレスにつぶされそうな人はぜひ参考にしてください。
始めに
私はドラッグストア店長から調剤薬局へ職を変えました。
ジョブチェンジで分かったリアルな情報と経験から、調剤薬局からドラッグストアへの転職を考えている方への参考になる記事を作成しようと思いました。
実際にそれぞれの職業を経験して得られた情報なので、転職情報サイトとは一味違った情報が得られます。
(作者の経歴:ドラッグストア店長10年以上 調剤薬局管理薬剤師5年以上)
薬剤師が視野を広げるためにドラッグストアで働くのはあり。労働時間については、独身者や、子育てが終わり、子供の手が離れた方ならドラッグストアは働きやすい
【対物から対人へ】 今後の薬剤師に求められること
今後医療費の枯渇はさらに問題となります。
セルフメディケーションが今よりも見直されることは明らかです。
薬剤師自らがお客さんの話を聞き、数ある中から適切な商品を選んで販売するという技術は、薬剤師の今後求められる「対人スキル」の向上に有効といえます。
調剤薬局の仕事 ドラッグストアの仕事
調剤薬局の仕事と将来をまとめてみましょう
勤務形態はこんな感じ
- 開局時間は、8:30~18:00くらい
- 日・祝は休みが普通
- 平日と土曜日が半日ずつ
- 連休は取りにくい。
- 平日休みも取りにくい
- 遊びに行くといつも人混みが当たり前。
仕事はこんな感じ
処方箋をうけて、調剤して、投薬して、薬歴をかく。
総合病院が近くにある薬局なら、様々な科の薬を知ることができて、薬学的知識は身に付きますが、とにかく薬歴に追われる、一包化に追われる、過誤が起きた日には対応に追われて疲弊・・・
ある程度できるようになると、このままでいいのかという漠然とした不安に襲われてきます。
整形外科とかの門前だと、割と楽だけど、新しい知識が入ってきません。
薬剤師として取り残されている不安感が襲ってきます。
自賠責だけには強くなりますが・・・。
(通常、病院薬剤師は調剤薬局より給与面で恵まれていない)
調剤薬局に限らず、同じ仕事を続けていると不安に襲われる
薬局勤務も2~3年もやれば、このまま管理薬剤師になって、エリアマネージャーとかになって・・・
現場に残っても、
ドラッグストアの仕事と将来をまとめてみましょう
ドラッグストアの仕事内容はこんなです。
ドラッグストアの仕事内容は、一般的な小売業の仕事に、薬の管理が付いてきます。
仕事以外は次のようなイメージです。
(薬剤師も一般と同じように働くのが普通です)
- 商品の品出し
- レジ
- 売り場変更
- 清掃
- レジの清算
- 入金管理などの金銭管理
これらの仕事は、レベルこそ違うにしろ、バイトでもできる仕事です。
若いうちは、バイトと和気あいあいと楽しめるのがいいところでもあります。
だれでもできる商品出しは、バイトが効率よく作業できるように仕組みづくりや指導をします。
売り場作成においても、本部からの指示に基づいて、自分の店に合うようにカスタマイズします。
商品の陳列量や陳列方法をアレンジして展開するなどは、経験とスキルが必要です。
また、調剤薬局よりもいろいろなお客様の要望に対応することになります。
医薬品から雑貨、食品まで様々な商品知識を身に付けることができることや、対人スキル、コミュニケーション能力の向上などは調剤薬局以上に得るものがあります。
調剤薬局にもいますが、クレーマーや、こまったお客さんに対応することにより、臨機応変に動けるスキルが身につきます。
さらに店長職となれば、スタッフの採用、教育、店舗の売り上げ、在庫管理などのマネジメント力が身に付きます。
パートやアルバイトの面接、採用一つとっても、ただ優れたいい人材を採用するのではなく、その店に溶け込めるかや、いい雰囲気を取り入れることができるかなどを考えて採用します。
調剤薬局よりも、バイト、パートの入れ替わりが激しいので、ほぼ毎月面接などということもあります。
自分が採用した人がどういった成長を遂げるのかも見届けることができますので、人を見る目も養われます。
また、OTC医薬品は新製品こそたびたび発売されるが、既存の成分の使いまわしがほとんどなので、薬のことはあまり勉強しなくてもやっていけます。
そして最も大きい違いは、どんなミスをしても、調剤ほどの健康被害は発生しないことです。
小児科の調剤なんて、本当に神経使いますし・・・。
調剤をやっているといつも過誤と隣り合わせで、命をすり減らしてしまいますが、OTCではほとんどそのようなことは考えなくなります。
(もちろん注意しなければならないことはありますが、あくまでの調剤業務と比較しての話です)
とまあ、いろいろ書きましたが、
つぶしの効く雑用仕事を幅広く身に着けられる
このまま調剤薬局の仕事を続けていてもいいのだろうか?
調剤報酬の増加もあまり見込めず、考え方によっては先細りの調剤薬局業界です。
この業界しか知らない状態で、保険調剤が将来立ち行かなくなったら、自分はやっていけるのだろうか?
調剤しか経験のない友人はそんなことを漏らしていました。
ドラッグストアのメリット
ここで、どちらでも働いたことがあるものとして、調剤薬局と比較して、ドラッグストアで働くメリットはどのようなものがあるか整理してみたいと思います。
(ドラッグストア店長10年以上 調剤薬局管理薬剤師5年以上 どちらにもしっかりと身を置いています)
メリット:接客販売で、【OTCの処方】ができるようになる
調剤をやっていると、自分で薬を選択するシーンは非常に少ないです。
今後薬剤師の仕事が機械化され、AIに代替えできる部分も多々あるとおもいます。
そのときに、AIではできないスキルを身につけられるかどうかは大きな悩みです。
ドラッグストアではお客さんの悩みを聞きながらOTCを選択し服薬指導します。
これは非常にいいトレーニングになります。
メリット:健康食品、サプリメントに詳しくなる
いろいろな健康食品が出ては消えていきます。
そのなかでも生き残っているものは、それなりに効果がきたいできるものの可能性もあります。
医薬品ではできないことが、サプリメントで解決できるケースがあります。
メリット:介護用おむつに詳しくなる
調剤薬局でも介護用おむつについては必要な知識です。
ドラッグストアは介護用おむつの取扱商品も多く、相談も多いです。
お客さんからの使用後のフィードバックもあるので、知識が身に付きます。
メリット:ガーゼ、ばんそうこう、サポーターや局方品にも詳しくなる
取扱量が、調剤薬局と比較にならないくらい多いです。
また、よく医者から、「こんなテープみたいに貼るやつ、ドラッグストアで売ってるから買って使って」といわれたから買いに来たというお客さんがいます。
テープや傷あて材などの衛生材料も、どのようなものが市販されているか知ることができます。
メリット:医薬品だけでなく、スキントラブルに対応できる化粧品類などの知識も身につく
UV散乱剤とUV吸収剤 肌にやさしい日焼け止めはどっちが良いの?
とか、
スキントラブルがある時にベビーローションとかを使用するのは良いの?
などの質問も、ドラッグストアを経験した薬剤師なら常識レベルでこたえられるとおもいます。
メリット:雑貨においても、殺虫剤や洗剤などは化学成分なので、詳しくなる。
- 重曹
- クエン酸
- セスキ
- 次亜塩素酸
- エタノール
- 界面活性剤
- ワーファリン(ネズミ駆除)
などなど、雑貨売り場は化学物質のパラダイス!
メリット:店長業務などを行えば、在庫管理や売り上げ管理など数字に強くなる。
B/S P/Lなども読めるようになる。
株式投資をやったりするとき、会社四季報でこのような数字をみて購入する株を決めるとか・・・の足掛かりになるかも。
流動資産とか、固定資産とか、自己資本比率とか、そういったものはイメージがつかみやすいのですっと入りやすくなります。
景気ウォッチャー調査よりも、景況感が先に感じ取れます。
ようは、視野が広がるということです。
実際に景気ウォッチャー調査の依頼が来たりすることもあります(笑)
メリット:勉強が嫌いなら、正直勉強しなくっても何とかなる。
これをメリットととらえるか、デメリットととらえるか。
調剤で色々あって、羽を休めるために転職した場合なんかはメリットかもしれません。
ここまで見ると、調剤薬局って、視野狭すぎ?と思うかもしれません。
でも、そんなことはありません。
ドラッグストアのデメリット
一方、ドラッグストアから調剤薬局へ移った立場として、ドラッグストアのデメリットを整理してみます。
デメリット:ドラッグストアでは医療用医薬品に疎くなる
これは当然のことですよね。医療は日進月歩です。
ドラッグストアで働いている間に、治療薬の主役が入れ替わっていたなんてことも起こりえます。
ここで補足
調剤経験がないままドラッグストアから調剤薬局へ移った場合は、追いつくまでにそれなりの努力が必要です。実際私もそれなりの努力はしました。
ドラッグストアから調剤への転職は、別業界に行くほどの決心が必要です。
一方、育児などでしばらくブランクはあるものの、かつて調剤に携わっていたママさん薬剤師がいました。
ブランクをものともせず、すぐに調剤にキャッチアップして戦力になりました。
一度手にした調剤のスキルは、一生ものということですね。
調剤経験があれば、ドラッグストアに身を置いたとしても、また調剤への復帰は容易なようです。
デメリット:ドラッグストアでは薬剤師としての勉強の機会が少ない
ドラッグストアでは、そんなに高度な薬学的知識は要求されないので意識しなければ勉強しないです。
デメリット:ドラッグストアでは日曜・祝日に休めない。子育て中は厳しい。
ドラッグストアは日曜日・祝日や年末年始も営業しているため、日曜日に毎回休むことは難しいです。
また、勤務時間が不規則で、
- 9:00~18:00
- 13:00~22:00
などの勤務が一般的です。
平日のすいているときにディズニーランドに行きたいとか、安い価格でホテルに泊まりたい等、独身生活を押下したい場合には良いですが・・・
共働きで子供が小さいうちなどは、ドラッグストアで働くことは厳しいです。
こまでで整理するとドラッグストアを経験するために転職することは、条件付きで良いことがわかります。
それはつぎのような方々です
- 調剤のスキルを確実に身につけている人(調剤への復帰も容易)
- 年齢も若く、独身時代を謳歌したい人
- 子供も手を離れ、時間に余裕があるがまだ体力もある人
- 調剤過誤の恐怖、ストレスから一時的に逃れたほうがいい人
調剤をある程度身につけている人は、しばらく調剤に携わらなくても復帰は容易
- また、ドラッグストアでの経験は、視野を広げることにもなります。
- 若いうちは、平日休みを取っていろいろ遊びにいくのも良いです。
- もしくは、子供の手も離れて、休日や夜間など時間にも余裕があるうちに新しい経験を積んでおきたい、生涯現役志向の人。
- 調剤過誤のストレスにつぶされそうな人
ちょっとしたミスが人命に直結する調剤と比較すれば、ドラッグストアは心のストレスが軽いので、気分転換と一時避難を兼ねて環境を変えるのもいいと思います。
もし、うつ病などになってしまったら、復帰までにかなりの年月を要することは薬剤師なら気付いていると思います。
そんな人は、ドラッグストアへ転職してトイレットペーパーの品出しをして、調剤過誤のストレスにつぶされる前に、箱をつぶしましょう(笑)
段ボールに八つ当たり
これ、【ドラッグストアあるある】です。
さいごに
いかがでしたでしょうか
調剤薬局からドラッグストアへ転職する人は、ドラッグストアから調剤薬局へ行く人と比較してかなり少数派です。
ですが、
- 調剤過誤のストレスにつぶされたくない。
- 今の環境をかえてみたい
- 新しいスキルを手に入れたい
- 対人業務・コミュニケーションを強化して、AIに負けない薬剤師になりたい
- バイトと和気あいあいと仕事したい
- 独身のうちは、休日はプライベートを謳歌したい!
そんな場合は、ドラッグストア薬剤師というのも一つの選択肢になると思います。
以上がドラッグストアと調剤薬局を経験した感想です。